著明な好中球減少に対しG-CSFを併用したIFN療法を行ない著効を得たC型慢性肝炎の1例

症例は26歳, 女性. 昭和51年, 7歳時交通事故のため大量輸血を受け, 輸血後肝炎を発症. その後肝障害が持続し, 平成3年, HCV抗体陽性のC型慢性肝炎と診断された. 平成4年10月, IFN-αによる治療を受けるも, 治療開始数日で好中球数が100/mm3台まで減少し, 治療を中止した. HCV-RNAは残存し肝障害も持続したため, 平成7年10月, G-CSFを併用したIFN-βによる治療を開始した. 100/mm3台まで低下した好中球数はG-CSFの投与により翌日には4, 000~8, 000/mm3まで上昇し, 4~5日で前値に復した. このため, 8週間のIFN-βの治療期間...

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Published in肝臓 Vol. 38; no. 6; pp. 369 - 373
Main Authors 河辺, 朋信, 小井戸, 薫雄, 穂苅, 厚史, 戸田, 剛太郎, 本間, 定, 鈴木, 正章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1997
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.38.369

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Summary:症例は26歳, 女性. 昭和51年, 7歳時交通事故のため大量輸血を受け, 輸血後肝炎を発症. その後肝障害が持続し, 平成3年, HCV抗体陽性のC型慢性肝炎と診断された. 平成4年10月, IFN-αによる治療を受けるも, 治療開始数日で好中球数が100/mm3台まで減少し, 治療を中止した. HCV-RNAは残存し肝障害も持続したため, 平成7年10月, G-CSFを併用したIFN-βによる治療を開始した. 100/mm3台まで低下した好中球数はG-CSFの投与により翌日には4, 000~8, 000/mm3まで上昇し, 4~5日で前値に復した. このため, 8週間のIFN-βの治療期間に7回のG-CSFの投与を行なった. 治療により血清GPT値の持続正常化と血中HCV-RNAの持続陰性化が得られ, IFN治療は著効と判断された. C型慢性肝炎のIFN治療において, IFNの副作用により著明な好中球減少を併発する例は, IFNとG-CSFの併用療法が有効であることを示唆する症例と考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.38.369