肝癌に特異的なγ-GTP isoenzymeの研究(第1報)Gradient polyacrylamide gel slab電気泳動法による血清γ-GTPの検討

Polyacrylamide gradient gel slab電気泳動を用いて種々肝胆道疾患々者の血清γ-GTPを分画し,肝疾患に特異的なpatternを検討した. 健常人血清γ-GTPのzymogramでは,症例により陽極側よりIからXまで10種類の分画を認めた.又アルコール性肝障害ではIII, IV, V及びVIが濃染し,胆道閉塞ではIII, V, VI, VII,VIII, IX, Xが濃染することが多かった.これに対し肝細胞癌ではI分画の陰極よりにI'及びI'',II分画の陰極よりにII'と症例により3種類のhepatoma-related γ...

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Published in肝臓 Vol. 21; no. 7; pp. 866 - 871
Main Authors 秋山, 雅彦, 樽井, 美子, 児島, 淳之介, 加藤, 道夫, 金谷, 正子, 中村, 允人, 柏木, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1980
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.21.866

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Summary:Polyacrylamide gradient gel slab電気泳動を用いて種々肝胆道疾患々者の血清γ-GTPを分画し,肝疾患に特異的なpatternを検討した. 健常人血清γ-GTPのzymogramでは,症例により陽極側よりIからXまで10種類の分画を認めた.又アルコール性肝障害ではIII, IV, V及びVIが濃染し,胆道閉塞ではIII, V, VI, VII,VIII, IX, Xが濃染することが多かった.これに対し肝細胞癌ではI分画の陰極よりにI'及びI'',II分画の陰極よりにII'と症例により3種類のhepatoma-related γ-GTP分画が認められ,そのなかでもI'が最も特異的で約54%に検出され,I''及びII'もI'に次いで比較的特異的でいずれも約34%に検出されたが,IV-VIIIの活性帯は殆んど認めない場合が多かった.我々の発見したI'分画は肝細胞癌患者の血清に特異的なisoenzymeと考えられ,肝細胞癌の診断に有用な分画と考えられる.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.21.866