「温暖化の危険な水準」を検討する際の意思決定基準とその適用

本研究は, 不確実性下における意思決定問題について論点整理を行った上で, 多地域動学的最適化モデルによるシミュレーション分析を用いて, 費用便益分析の観点から気候変動安定化シナリオの選択に意思決定基準を適用することを試みるものである. ここでは, いくつかの意思決定基準を示し, 全球規模および日本での気候変動安定化政策への適用を行った. 全球規模では, いずれの意思決定基準を用いても, CO2濃度650ppmシナリオが選択される結果となる. 一方, 日本への適用を行った分析では, 多くの意思決定基準においてCO2濃度650ppmシナリオが選択されるものの, より悲観的な立場を重視する意思決定基...

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Published in環境システム研究論文集 Vol. 36; pp. 69 - 77
Main Authors 大野, 栄治, 中嶌, 一憲, 林山, 泰久, 森杉, 壽芳
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 土木学会 2008
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ISSN1345-9597
1884-8125
DOI10.2208/proer.36.69

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Summary:本研究は, 不確実性下における意思決定問題について論点整理を行った上で, 多地域動学的最適化モデルによるシミュレーション分析を用いて, 費用便益分析の観点から気候変動安定化シナリオの選択に意思決定基準を適用することを試みるものである. ここでは, いくつかの意思決定基準を示し, 全球規模および日本での気候変動安定化政策への適用を行った. 全球規模では, いずれの意思決定基準を用いても, CO2濃度650ppmシナリオが選択される結果となる. 一方, 日本への適用を行った分析では, 多くの意思決定基準においてCO2濃度650ppmシナリオが選択されるものの, より悲観的な立場を重視する意思決定基準を用いた場合には, より厳しいCO2濃度550ppmシナリオが選択される結果となる.
ISSN:1345-9597
1884-8125
DOI:10.2208/proer.36.69