糖尿病患者におけるCohn I型無症候性心筋虚血の検討

糖尿病患者におけるCohnI型無症候性心筋虚血 (SMI) について検討した。狭心症の既往のないインスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) 入院患者96例を対象とし, 症候限界性多段階トレッドミル運転負荷試験を行った。1mm以上のST低下をきたすとともに201TI心筋シンチグラフィ (SPECT撮像) で灌流欠損を認めたものをSMIと診断し, この虚血群と非虚血群との間で糖尿病歴, 合併症および他の冠危険因子について比較検討した。13例 (14%) にSMIを認めた。虚血群と非虚血群 (83例) では, 糖尿病罹病期間, 入院時空腹時血糖・HbAlc値, 糖尿病性腎症・網膜症・神経障害および高脂...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 41; no. 4; pp. 966 - 969
Main Authors 小野塚, 久夫, 五十嵐, 康己, 中村, 雅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 1992
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.41.966

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Summary:糖尿病患者におけるCohnI型無症候性心筋虚血 (SMI) について検討した。狭心症の既往のないインスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) 入院患者96例を対象とし, 症候限界性多段階トレッドミル運転負荷試験を行った。1mm以上のST低下をきたすとともに201TI心筋シンチグラフィ (SPECT撮像) で灌流欠損を認めたものをSMIと診断し, この虚血群と非虚血群との間で糖尿病歴, 合併症および他の冠危険因子について比較検討した。13例 (14%) にSMIを認めた。虚血群と非虚血群 (83例) では, 糖尿病罹病期間, 入院時空腹時血糖・HbAlc値, 糖尿病性腎症・網膜症・神経障害および高脂血症の合併率に差は認めなかった。しかし高血圧合併例 (77%vs27%;P<0.01), 喫煙例 (77%vs41%;P<0.05) が虚血群に有意に多くみられた。またSMI13例の糖尿病罹病期間は8例が1年以内で, 平均でも2.8±3.0年と短かった。糖尿病性腎症の進行程度 (前期, 早期;アルブミン尿, 顕性期;蛋白尿) によるSMIの合併率に差は認められなかった。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.41.966