メンタルヘルス上の問題をもつ看護学生と関わる教員の葛藤 看護専門学校教員の面接調査から

本研究は,看護専門学校教員5名を対象に,メンタルヘルス上の問題をもつ看護学生と関わる教員の葛藤を把握し,その解決のための示唆を得る目的で,半構成的面接調査を行った。その結果,語られた学生像からは対人関係能力の未熟さと,病的な人格の歪みが推測された。そのため教員は学生のメンタルヘルスの維持と学生を看護師に育てることの間で葛藤を抱いていた。とりわけ臨地実習では,学生に対して救出者感情や陰性感情を抱き感情的に巻き込まれ,患者の安全・安楽を守る必要性が高まることで葛藤が増強していた。さらに学生との関わりを他教員に非難され葛藤し,他教員のサポートを求めにくく,葛藤を増強させていた。   葛藤解決の方向性...

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Published in日本看護研究学会雑誌 Vol. 29; no. 5; pp. 5_49 - 5_57
Main Authors 柴田, 真紀, 林, 世津子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本看護研究学会 01.12.2006
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ISSN2188-3599
2189-6100
DOI10.15065/jjsnr.20060724004

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Summary:本研究は,看護専門学校教員5名を対象に,メンタルヘルス上の問題をもつ看護学生と関わる教員の葛藤を把握し,その解決のための示唆を得る目的で,半構成的面接調査を行った。その結果,語られた学生像からは対人関係能力の未熟さと,病的な人格の歪みが推測された。そのため教員は学生のメンタルヘルスの維持と学生を看護師に育てることの間で葛藤を抱いていた。とりわけ臨地実習では,学生に対して救出者感情や陰性感情を抱き感情的に巻き込まれ,患者の安全・安楽を守る必要性が高まることで葛藤が増強していた。さらに学生との関わりを他教員に非難され葛藤し,他教員のサポートを求めにくく,葛藤を増強させていた。   葛藤解決の方向性として,メンタルヘルスの知識・技術を用いて学生を理解し関わること,葛藤の教員間での共感的に理解すること,葛藤を振り返り教育観を培うことが示唆され,教員のサポートシステムの整備が期待される。
ISSN:2188-3599
2189-6100
DOI:10.15065/jjsnr.20060724004