医療事故のリスクについて看護学生の認識に関する一考察 誤薬のロール・プレーイングのシナリオを用いて

本研究の目的は,医療現場の行為や場面の中に潜む誤薬の医療事故のリスクに関する看護学生の認識について検討することであった。 対象は,3年課程看護短期大学の3年次の学生100人であった。 方法は,誤薬のシナリオに盛り込まれた22個のリスクについて,そのリスクを発見した発見者数とそのリスクが事故の原因としてどの程度重要と考えたかという重要度の認識を検討した。 その結果,「処方箋が薬と一緒でない」,「意志疎通の欠如」,「新人・不十分な知識・技術」 の発見者数は少なかった。 リーダーとスタッフ間の 「説明不足」 と 「確認不足」 はスタッフ同士のそれよりも発見者数が少なかった。 「薬を準備した人が与薬し...

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Published in日本看護研究学会雑誌 Vol. 26; no. 5; pp. 5_133 - 5_143
Main Authors 風岡, たま代, 大塚, 邦子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本看護研究学会 01.12.2003
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ISSN2188-3599
2189-6100
DOI10.15065/jjsnr.20030912009

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Summary:本研究の目的は,医療現場の行為や場面の中に潜む誤薬の医療事故のリスクに関する看護学生の認識について検討することであった。 対象は,3年課程看護短期大学の3年次の学生100人であった。 方法は,誤薬のシナリオに盛り込まれた22個のリスクについて,そのリスクを発見した発見者数とそのリスクが事故の原因としてどの程度重要と考えたかという重要度の認識を検討した。 その結果,「処方箋が薬と一緒でない」,「意志疎通の欠如」,「新人・不十分な知識・技術」 の発見者数は少なかった。 リーダーとスタッフ間の 「説明不足」 と 「確認不足」 はスタッフ同士のそれよりも発見者数が少なかった。 「薬を準備した人が与薬しない」 の重要度は75人に低く認識されていた。 したがって,誤薬事故のリスクに関する学生の認識は,リーダーとスタッフ間の与薬依頼における説明不足と確認不足,臨床現場でも容認されているルール違反に対して低いことがわかった。
ISSN:2188-3599
2189-6100
DOI:10.15065/jjsnr.20030912009