救急看護における知の研究 看護師による急変・救急場面の語りの分析

急変・救急場面における看護の知を明らかにするため,三次救急医療施設に勤務する看護師7名に対して半構造化面接を行った。ナラティブ分析を行い,Titchenらの認識論と存在論の視点による知の分類を参考に,看護の知がどのようなものであるかを検討した。認識論的な側面の特徴を持つ看護の知のテーマは【急変の発生をいち早く捉える】,【患者に生じた異変の原因を探る】,【患者を救うという役割を意識する】,【激しく変化する病状の移行を正確に捉える】,【患者を家族員としての側面で捉える】であった。存在論的な側面の特徴を持つ看護の知は【急変直後の唯一の医療提供者】,【救急医療チームによる協働の起点】,【チーム医療のフ...

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Published in日本健康医学会雑誌 Vol. 30; no. 2; pp. 151 - 161
Main Authors 岩永, 和代, 浦, 綾子, 紙谷, 恵子, 宮林, 郁子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本健康医学会 27.07.2021
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ISSN1343-0025
2423-9828
DOI10.20685/kenkouigaku.30.2_151

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Summary:急変・救急場面における看護の知を明らかにするため,三次救急医療施設に勤務する看護師7名に対して半構造化面接を行った。ナラティブ分析を行い,Titchenらの認識論と存在論の視点による知の分類を参考に,看護の知がどのようなものであるかを検討した。認識論的な側面の特徴を持つ看護の知のテーマは【急変の発生をいち早く捉える】,【患者に生じた異変の原因を探る】,【患者を救うという役割を意識する】,【激しく変化する病状の移行を正確に捉える】,【患者を家族員としての側面で捉える】であった。存在論的な側面の特徴を持つ看護の知は【急変直後の唯一の医療提供者】,【救急医療チームによる協働の起点】,【チーム医療のファシリテーター】,【患者を安心して託せる拠りどころ】,【信頼できる情報提供者】,【現状を乗り越えるための伴走者】,【患者と家族をつなぐ調整役】であった。急変・救急場面における看護の知は,患者の救命はもとより,患者と家族の心理的・社会的背景にも焦点があてられ,救急医療チームの中で看護師独自の役割として発揮されていた。
ISSN:1343-0025
2423-9828
DOI:10.20685/kenkouigaku.30.2_151