虚血性脳血管障害における血小板ATP放出能と凝集能の充進ならびに抗血小板剤の効果

Lumi-aggregometerを用いて血小板より放出されるATP量を求め, 虚血性脳血管障害におけるATP放出能と凝集能との関係ならびに抗血小板剤の効果について検討した.抗血小板剤未投与の脳血栓症, TIAのATP放出量はそれぞれ3.88±2.24μM, 4.97±4.11μMであった.最大凝集率 (M%) はそれぞれ66.3±11.1%, 77.1±11.6%, 最大凝集までの時間 (Tm) はそれぞれ288.5±86.9sec, 301.8±78.8sec, 解離率 (D%) はそれぞれ, 6.2±11.5%, 3.4±5.1%であった.これらの値は, 健康成人ならびにASA (0.3...

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Published in脳卒中 Vol. 9; no. 1; pp. 1 - 5
Main Authors 内山, 真一郎, 佐藤, 玲子, 丸山, 勝一, 小林, 逸郎, 長山, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 1987
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.9.1

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Summary:Lumi-aggregometerを用いて血小板より放出されるATP量を求め, 虚血性脳血管障害におけるATP放出能と凝集能との関係ならびに抗血小板剤の効果について検討した.抗血小板剤未投与の脳血栓症, TIAのATP放出量はそれぞれ3.88±2.24μM, 4.97±4.11μMであった.最大凝集率 (M%) はそれぞれ66.3±11.1%, 77.1±11.6%, 最大凝集までの時間 (Tm) はそれぞれ288.5±86.9sec, 301.8±78.8sec, 解離率 (D%) はそれぞれ, 6.2±11.5%, 3.4±5.1%であった.これらの値は, 健康成人ならびにASA (0.3~0.7g/日), ticlopidine100mg/日または200mg/日の治療群と比べ有意 (p<0.01~0.05) に高い値 (ATP放出量, M%) および低い値 (D%) を示した.脳血管障害におけるATP放出能の充進は血小板がATPを放出しやすい病態が考えられ, 凝集能充進との関連を考慮すると血栓傾向を示唆する所見と考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.9.1