家庭排水を経路とした住宅団地からのビスフェノールAの排出実態

ビスフェノールA(BPA)はプラスチック製品の原材料として使用される有機化学物質であり,内分泌攪乱作用が疑われている.本研究では,このBPAに関して住宅団地の家庭排水を経路とした排出源と排出経路を明らかにすることを目的とした.広島県A住宅団地の汚水処理場における24時間連続調査と1週間継続調査で得られた流入汚水の平均BPA濃度は0.12-0.22 μg/Lの範囲にあり,BPAの約50%は,懸濁態として検出された.A住宅団地からBPAの排出負荷量は,189-333mg/日と算出された.一方,洗濯機や食器洗浄機からの排水など数種類の家庭排水およびトイレットペーパーなどからのBPA排出負荷を調査,検...

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Published in土木学会論文集G Vol. 62; no. 3; pp. 332 - 339
Main Authors 今岡, 務, 林, 香代子, 上田, 徹也, 吉村, 友宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 土木学会 2006
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ISSN1880-6082
DOI10.2208/jscejg.62.332

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Summary:ビスフェノールA(BPA)はプラスチック製品の原材料として使用される有機化学物質であり,内分泌攪乱作用が疑われている.本研究では,このBPAに関して住宅団地の家庭排水を経路とした排出源と排出経路を明らかにすることを目的とした.広島県A住宅団地の汚水処理場における24時間連続調査と1週間継続調査で得られた流入汚水の平均BPA濃度は0.12-0.22 μg/Lの範囲にあり,BPAの約50%は,懸濁態として検出された.A住宅団地からBPAの排出負荷量は,189-333mg/日と算出された.一方,洗濯機や食器洗浄機からの排水など数種類の家庭排水およびトイレットペーパーなどからのBPA排出負荷を調査,検討した結果,個々のBPA負荷の合計は汚水処理場への流入負荷の約15%に相当すると算定され,排水管の内面などその他のBPAの排出源の調査が必要であることが示唆された.
ISSN:1880-6082
DOI:10.2208/jscejg.62.332