波による質量輸送がシートフロー漂砂量に及ぼす影響について

振動流実験によるシートフロー漂砂量には,底面境界層で波により発生する質量輸送の影響が含まれていない.そこで本研究では,正味漂砂量に及ぼす質量輸送の影響を,波動場に初めて拡張した二相流モデルを用いて検討した.その結果,振動流場のケースに比べて波動場に対する岸向き正味漂砂量は質量輸送の影響を受けて有意に増加することが示された.さらに振動流実験の結果に基づく局所漂砂量モデルにおいても,質量輸送速度を定常流成分として与えることで波動場の正味漂砂量を良好に算出できることが分かった.この手法により現地スケールに対して正味漂砂量を試算・検討した上で,大型水路実験に対する再現計算を行ったところ,質量輸送を加味...

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Published in土木学会論文集B Vol. 62; no. 1; pp. 139 - 149
Main Authors 佐藤, 愼司, 本田, 隆英, 磯部, 雅彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 土木学会 2006
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ISSN1880-6031
DOI10.2208/jscejb.62.139

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Summary:振動流実験によるシートフロー漂砂量には,底面境界層で波により発生する質量輸送の影響が含まれていない.そこで本研究では,正味漂砂量に及ぼす質量輸送の影響を,波動場に初めて拡張した二相流モデルを用いて検討した.その結果,振動流場のケースに比べて波動場に対する岸向き正味漂砂量は質量輸送の影響を受けて有意に増加することが示された.さらに振動流実験の結果に基づく局所漂砂量モデルにおいても,質量輸送速度を定常流成分として与えることで波動場の正味漂砂量を良好に算出できることが分かった.この手法により現地スケールに対して正味漂砂量を試算・検討した上で,大型水路実験に対する再現計算を行ったところ,質量輸送を加味することでバーの発生過程を良好に再現することができた.
ISSN:1880-6031
DOI:10.2208/jscejb.62.139