全身性エリテマトーデスおよび抗リン脂質抗体症候群に合併した慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)の一剖検例

全身性エリテマトーデス(SLE)と抗リン脂質抗体症候群(APS)に合併した慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)の一剖検例を報告する.症例は35歳女性で,遷延する発熱,関節痛,呼吸困難を主訴に入院.多関節炎,口腔内潰瘍に加えて軽度の肝障害,肺高血圧症を認め,検査所見でリンパ球減少,抗DNA抗体,抗RNP抗体,抗カルジオリピン抗体陽性,梅毒反応生物学的偽陽性などの所見を認めたことから, SLEおよびAPSと診断した.プレドニゾロン30mg/dayの投与により一旦は病状は改善したが, 4カ月後に肝障害の増悪にて再入院.自己免疫性肝炎を疑ってステロイド薬を増量したが効果なく,肺胞出血を来して死亡...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 25; no. 6; pp. 458 - 465
Main Authors 窪田, 哲朗, 笠原, 一郎, 杉原, 毅彦, 小池, 竜司, 宮坂, 信之, 萩山, 裕之, 西尾, 純子, 河内, 洋, 小川, 純, 上阪, 等
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床免疫学会 2002
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.25.458

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Summary:全身性エリテマトーデス(SLE)と抗リン脂質抗体症候群(APS)に合併した慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)の一剖検例を報告する.症例は35歳女性で,遷延する発熱,関節痛,呼吸困難を主訴に入院.多関節炎,口腔内潰瘍に加えて軽度の肝障害,肺高血圧症を認め,検査所見でリンパ球減少,抗DNA抗体,抗RNP抗体,抗カルジオリピン抗体陽性,梅毒反応生物学的偽陽性などの所見を認めたことから, SLEおよびAPSと診断した.プレドニゾロン30mg/dayの投与により一旦は病状は改善したが, 4カ月後に肝障害の増悪にて再入院.自己免疫性肝炎を疑ってステロイド薬を増量したが効果なく,肺胞出血を来して死亡した.剖検では,腎糸球体にメサンギウムの拡大を伴うび漫性膜性糸球体腎炎の所見を認め,ループス腎炎(WHO V-b型)に合致する所見であった.また,骨髄,肝臓,脾臓に血球負食像とEBVゲノム陽性の異型リンパ球の著しい浸潤が認められ,血清学的にもEBV関連抗体が高値を示し,しかも剖検後に検索を行った血漿EBV-DNA量は著明高値を示していたことから, SLEに血球貧食症候群を伴うCAEBVを合併したものと診断された.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.25.458