腰痛症における体幹筋の重要性とその測定の臨床的意義
「はじめに」Hasueら3)がCybexを用いて体幹筋力を測定して以来, 腰痛症患者の体幹筋力は, 健常人に比して低下していることが明らかとなり, われわれは神経症状のない腰痛症患者に対して, まず腰痛体操を指導することが多い. 今回, 体幹筋の役割と体幹筋力測定のもたらす臨床的意義について述べる. I.体幹筋の機能解剖 体幹筋は背筋群, 外側深層筋群, 腹壁筋群に分けられる. 背筋群は, 傍脊柱筋, 下後鋸筋, 広背筋からなり, 腰椎を伸展すなわち腰椎を後方に引き腰椎の前弯を増加させる働きがある. 外側深層筋群は, 腰方形筋と腰筋からなり, 体幹を側屈, 対側への回旋に働く. 腹壁筋群は,...
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Published in | 日本腰痛学会雑誌 Vol. 7; no. 1; pp. 26 - 30 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腰痛学会
2001
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Subjects | |
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ISSN | 1345-9074 1882-1863 |
DOI | 10.3753/yotsu.7.26 |
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Summary: | 「はじめに」Hasueら3)がCybexを用いて体幹筋力を測定して以来, 腰痛症患者の体幹筋力は, 健常人に比して低下していることが明らかとなり, われわれは神経症状のない腰痛症患者に対して, まず腰痛体操を指導することが多い. 今回, 体幹筋の役割と体幹筋力測定のもたらす臨床的意義について述べる. I.体幹筋の機能解剖 体幹筋は背筋群, 外側深層筋群, 腹壁筋群に分けられる. 背筋群は, 傍脊柱筋, 下後鋸筋, 広背筋からなり, 腰椎を伸展すなわち腰椎を後方に引き腰椎の前弯を増加させる働きがある. 外側深層筋群は, 腰方形筋と腰筋からなり, 体幹を側屈, 対側への回旋に働く. 腹壁筋群は, 腹直筋, 腹横筋, 内・外腹斜筋からなる. 物を持ち上げる際には, 腹壁筋群は腹腔内圧を上昇させ, 背筋群の働きを助けるとされている(腹腔内圧理論). しかし実際には, 腹壁筋群により腰椎を屈曲させ椎間関節の関節包, 棘上・棘下間靭帯, 胸腰筋膜の後層からなる後方靭帯の緊張を維持し, 股関節を伸展させ骨盤を後方に回転させ, 脊柱が直立位に近づき背筋群により保持姿勢を維持するなど相互の役割分担がなされている. |
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ISSN: | 1345-9074 1882-1863 |
DOI: | 10.3753/yotsu.7.26 |