慢性分裂病の知見補遺 在宅, 在院と欠陥程度の関係について
烏山病院において1979年9月30日現在, 直接観察期間10年以上の通院および在院中の分裂病 (非定型を除く) 501例について, 現時点における実態を調査し, また現在の状況における分裂病の医療の焦点と困難さについて考察した.さらに従来からいわれている分裂病の予後に関係する幾つかの指標についても分析, 考察を加えた.1.社会適応状況について適応度は生活行動能力を基準にし, 精神症状の総合評価を加え, 6段階に区分したが, 予後を大きく良好, 中間, 不良の各群に分けて比較した.この結果良好群は13.6%であり, 中間群は58.8%不良群は27.6%であった.2.中間群すなわち中間安定群と中間...
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          | Published in | 昭和医学会雑誌 Vol. 42; no. 1; pp. 57 - 72 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            昭和大学学士会
    
        01.02.1982
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| ISSN | 0037-4342 2185-0976  | 
| DOI | 10.14930/jsma1939.42.57 | 
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| Summary: | 烏山病院において1979年9月30日現在, 直接観察期間10年以上の通院および在院中の分裂病 (非定型を除く) 501例について, 現時点における実態を調査し, また現在の状況における分裂病の医療の焦点と困難さについて考察した.さらに従来からいわれている分裂病の予後に関係する幾つかの指標についても分析, 考察を加えた.1.社会適応状況について適応度は生活行動能力を基準にし, 精神症状の総合評価を加え, 6段階に区分したが, 予後を大きく良好, 中間, 不良の各群に分けて比較した.この結果良好群は13.6%であり, 中間群は58.8%不良群は27.6%であった.2.中間群すなわち中間安定群と中間不安定群は現在の分裂病に対する精神科医療の結果が示す分裂病欠陥の平均像である.またこれら中間群は通院と在院にほぼ等分されるが, この群に対する処遇の仕方がいわば精神科リハビリテーションの重要な課題となることを示している.3.分裂病に対する治療手段の変化は分裂病の予後率に変化をもたらしているかどうかは断定はできないが, 少なくともこれら治療手段の変化が中間群の増大を示していると考えられる.また本調査では分裂病の病型の変化として, 時代とともに緊張型欠陥の減少と破瓜型の増加が認められた.4.分裂病定型群について予後に関連する要因についてはいずれも有意差のある関連を認めなかった. | 
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| ISSN: | 0037-4342 2185-0976  | 
| DOI: | 10.14930/jsma1939.42.57 |