琵琶湖北湖における最近の富栄養化傾向

近年,琵琶湖は急速に富栄養化していると思われがちであるが,過去24年間における透明度と深水層の年間最低溶存酸素濃度,および過去10年間における湖水の全リン濃度の経年変化からみる限り,琵琶湖(とくに北湖)ではこのところ富栄養化は顕著には進行していない。 一方,VOLLENWEIDER(1976)の予測モデルからみると,琵琶湖に対するリンの外部負荷量は急速な富栄養化をもたらすのに十分なほどに大きい。 この矛盾を説明するために,琵琶湖におけるリンのマス・バランスを検討した。その結果,リンの効果的な沈降が琵琶湖の富栄養化を遅らせているのではないかと推定された。...

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Bibliographic Details
Published in陸水学雑誌 Vol. 53; no. 2; pp. 139 - 144
Main Author 手塚, 泰彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本陸水学会 1992
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ISSN0021-5104
1882-4897
DOI10.3739/rikusui.53.139

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Summary:近年,琵琶湖は急速に富栄養化していると思われがちであるが,過去24年間における透明度と深水層の年間最低溶存酸素濃度,および過去10年間における湖水の全リン濃度の経年変化からみる限り,琵琶湖(とくに北湖)ではこのところ富栄養化は顕著には進行していない。 一方,VOLLENWEIDER(1976)の予測モデルからみると,琵琶湖に対するリンの外部負荷量は急速な富栄養化をもたらすのに十分なほどに大きい。 この矛盾を説明するために,琵琶湖におけるリンのマス・バランスを検討した。その結果,リンの効果的な沈降が琵琶湖の富栄養化を遅らせているのではないかと推定された。
ISSN:0021-5104
1882-4897
DOI:10.3739/rikusui.53.139