富栄養湖において湖水が砂浜を浸透する過程における水質変化

波浪によって砂浜に打ち上げられた湖水が,砂層に浸透して再び湖岸水域に戻る過程で起こる浸透水中の窒素及びリンの変化を霞ケ浦湖岸の砂浜に浸透水採取用容器を埋設して周年にわたって観測し,砂浜における物質循環を検討した。浸透水中には,硝酸態窒素,アンモニア態窒素及びリン酸態リンが豊富に含まれており,分解が活発に行われていることが示唆された。全窒素濃度は,夏季には波浪によって砂浜へ打ち上げられる直前の湖岸水の35-80%に低下した。全リンは浸透の過程で無機化されたが,濃度の顕著な低下は認められなかった。こうした窒素とリンの浸透過程における物質代謝の差を反映してN/P比は浸透過程で低下した。...

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Published in陸水学雑誌 Vol. 57; no. 2; pp. 173 - 177
Main Authors 外岡, 健夫, 岩崎, 順, 佐々木, 道也, 浜田, 篤信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本陸水学会 1996
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ISSN0021-5104
1882-4897
DOI10.3739/rikusui.57.173

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Summary:波浪によって砂浜に打ち上げられた湖水が,砂層に浸透して再び湖岸水域に戻る過程で起こる浸透水中の窒素及びリンの変化を霞ケ浦湖岸の砂浜に浸透水採取用容器を埋設して周年にわたって観測し,砂浜における物質循環を検討した。浸透水中には,硝酸態窒素,アンモニア態窒素及びリン酸態リンが豊富に含まれており,分解が活発に行われていることが示唆された。全窒素濃度は,夏季には波浪によって砂浜へ打ち上げられる直前の湖岸水の35-80%に低下した。全リンは浸透の過程で無機化されたが,濃度の顕著な低下は認められなかった。こうした窒素とリンの浸透過程における物質代謝の差を反映してN/P比は浸透過程で低下した。
ISSN:0021-5104
1882-4897
DOI:10.3739/rikusui.57.173