産総研DHRC における転倒リスク評価装置の開発について 転倒予防を「はじめる」・「つづける」ために

本稿では,現在( 独) 産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センターで開発を進めている,「転倒リスク評価装置」について,2011 年度からの開発の変遷と,この装置を用いた将来的な展望についてまとめた.この装置は,主に中高年者が様々な健康増進策を「はじめる」,「つづける」ことができるようにすることを目的としているため,彼らが健康増進策を途中でドロップアウトしてしまう理由に着目し,それに対する対策として以下の4 つの機能を実現することとした:1)簡単に評価できる,2)できていることがわかる,3)他者と比較できる,及び4)身に着けられる/他者と繋がれる.これら4 つの機能を実現するために,我...

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Published inバイオメカニズム学会誌 Vol. 38; no. 4; pp. 253 - 258
Main Author 小林, 吉之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published バイオメカニズム学会 2014
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ISSN0285-0885
DOI10.3951/sobim.38.253

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Summary:本稿では,現在( 独) 産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センターで開発を進めている,「転倒リスク評価装置」について,2011 年度からの開発の変遷と,この装置を用いた将来的な展望についてまとめた.この装置は,主に中高年者が様々な健康増進策を「はじめる」,「つづける」ことができるようにすることを目的としているため,彼らが健康増進策を途中でドロップアウトしてしまう理由に着目し,それに対する対策として以下の4 つの機能を実現することとした:1)簡単に評価できる,2)できていることがわかる,3)他者と比較できる,及び4)身に着けられる/他者と繋がれる.これら4 つの機能を実現するために,我々はモーションキャプチャシステムと床反力計から取得した精密な歩行のデータを用い,個々人が転倒するリスクを評価するモデルを構築した.我々の装置は,そのモデルをセンサが内蔵された装置に実装することで,歩くだけで転倒するリスクを評価しその結果をフィードバックできるようにしている.今後はこの装置を利用しながら,多くのユーザのデータを収集することによって,転倒の発生件数の減少に貢献し続けたいと考えている.
ISSN:0285-0885
DOI:10.3951/sobim.38.253