知的障害を伴う自閉症幼児の家族と大学教員の主に郵送での協議ツールを活用した協働的アプローチ Family Quality of Life の分析
本研究では,障害児の家族と大学教員による主に郵送での協議ツールを活用した協働的アプローチにより,Family Quality of Life(以下,FQOL)が改善するか検討した.FQOL は,家族の役割や家族生活が機能しているかを検討し,新たな家族全員のニーズや家族としての強さをみいだすことを目的とする.対象は,知的障害を伴う自閉スペクトラム症幼児とその家族であった.支援対象の標的行動は,ドアを開けたまま,その場所を出る行動,朝の準備と異なることをする行動の2つであった.これらの標的行動に対し,母親による部屋の環境整備,適切な行動自発後の称賛を行った.介入の結果,支援開始前に比べ,①いずれの...
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Published in | 発達障害研究 Vol. 44; no. 3; pp. 303 - 320 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本発達障害学会
30.11.2022
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Subjects | |
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ISSN | 0387-9682 2758-9048 |
DOI | 10.60260/jasdd.44.3_303 |
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Summary: | 本研究では,障害児の家族と大学教員による主に郵送での協議ツールを活用した協働的アプローチにより,Family Quality of Life(以下,FQOL)が改善するか検討した.FQOL は,家族の役割や家族生活が機能しているかを検討し,新たな家族全員のニーズや家族としての強さをみいだすことを目的とする.対象は,知的障害を伴う自閉スペクトラム症幼児とその家族であった.支援対象の標的行動は,ドアを開けたまま,その場所を出る行動,朝の準備と異なることをする行動の2つであった.これらの標的行動に対し,母親による部屋の環境整備,適切な行動自発後の称賛を行った.介入の結果,支援開始前に比べ,①いずれの標的行動も改善した.②FQOLの改善項目数は,25項目中11項目であった.③母親より,母親だけでなく父親,祖母と対象児のコミュニ ケーションがとれるようになったと報告された.この結果から,主に郵送での協議ツールを活用した協働的アプローチの手続きがFQOL改善に寄与したことが示された.今後の課題として,他機関との連携・協働,地域ベースの協働的アプローチの実施,郵送によるやりとりの限界を指摘した. |
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ISSN: | 0387-9682 2758-9048 |
DOI: | 10.60260/jasdd.44.3_303 |