放射線治療後に硬膜転移を含む髄腔内播種再発をきたした中枢神経原発組織球性肉腫 症例報告と文献レビュー

中枢神経原発組織球性肉腫はきわめてまれであり, 症例報告も限られ, 予後因子や治療法も確立されていない. 術後放射線治療後の再発病変に対してMPV療法が奏効した1例を報告する. また, 本疾患の治療戦略を探るべく, 渉猟した文献症例と当症例を合わせた33症例の臨床データを解析し, 予後因子と治療法の効果予測因子を評価した. 結果, 多発病変は生存期間が短い傾向にあった. 肉眼的全摘出と放射線治療が有意な予後延長因子であった. 化学療法の有意性は認めなかったが, 化学放射線療法群はおのおのの単独治療群よりも生存期間が延長した. 本疾患の生存期間延長には肉眼的全切除が望ましく, 化学療法を含めた集...

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 33; no. 5; pp. 356 - 363
Main Authors 藤木, 稔, 阿南, 光洋, 大西, 晃平, 髙尾, 薫平, 松下, 航, 秦, 暢宏, 籾井, 泰朋, 川﨑, ゆかり
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本脳神経外科コングレス 2024
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.33.356

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Summary:中枢神経原発組織球性肉腫はきわめてまれであり, 症例報告も限られ, 予後因子や治療法も確立されていない. 術後放射線治療後の再発病変に対してMPV療法が奏効した1例を報告する. また, 本疾患の治療戦略を探るべく, 渉猟した文献症例と当症例を合わせた33症例の臨床データを解析し, 予後因子と治療法の効果予測因子を評価した. 結果, 多発病変は生存期間が短い傾向にあった. 肉眼的全摘出と放射線治療が有意な予後延長因子であった. 化学療法の有意性は認めなかったが, 化学放射線療法群はおのおのの単独治療群よりも生存期間が延長した. 本疾患の生存期間延長には肉眼的全切除が望ましく, 化学療法を含めた集学的治療の有効性も示唆された.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.33.356