民間企業における災害対応訓練実施報告 動き始めた産業界の危機管理調整システム

民間企業における大規模災害発生時の対応力強化への取組として,東電フュエル株式会社におけるIncident Command System(危機管理調整システム,以下ICS)の導入およびスリーエムジャパン株式会社における実践的災害対応訓練の事例を報告する.東電フュエル㈱は東日本大震災の経験をもとに,より実践力に富んだ組織となるべくICSの考え方に基づいた組織変革を実施してきた.ICSの有効性を確認し,その効果として東電フュエル㈱におけるICS研修は98%の満足度を得ている.スリーエムジャパン㈱は社員による3M Emergency Response Team(以下3M ERT)を保有し,リアルな災害...

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Published in保健医療科学 Vol. 68; no. 2; pp. 75 - 80
Main Authors 佐藤, 修一, 片岡, 克己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 国立保健医療科学院 01.05.2019
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ISSN1347-6459
2432-0722
DOI10.20683/jniph.68.2_75

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Summary:民間企業における大規模災害発生時の対応力強化への取組として,東電フュエル株式会社におけるIncident Command System(危機管理調整システム,以下ICS)の導入およびスリーエムジャパン株式会社における実践的災害対応訓練の事例を報告する.東電フュエル㈱は東日本大震災の経験をもとに,より実践力に富んだ組織となるべくICSの考え方に基づいた組織変革を実施してきた.ICSの有効性を確認し,その効果として東電フュエル㈱におけるICS研修は98%の満足度を得ている.スリーエムジャパン㈱は社員による3M Emergency Response Team(以下3M ERT)を保有し,リアルな災害対応訓練の体験コースを企業等へ提供し,社会貢献を実施している.スリーエムジャパン㈱での3M ERT災害対応訓練体験コースでは96%がリアルな災害対応訓練は役に立つと回答している.リアルな研修,訓練を実施する事により,社員の安全,健康経営に対して参加者は意識付けされ,災害対応を自分事にする傾向を示す.今後は災害現場で意思決定が出来る防災リーダーの育成や実行力を持つ社員の増加が必須と考える.
ISSN:1347-6459
2432-0722
DOI:10.20683/jniph.68.2_75