歯性感染症から分離したPrevotella intermediaのβ-lactam薬感受性とβ-lactamase活性

歯性感染症におけるβ-lactam薬耐性機構を解析するため, 閉鎖性膿瘍や蜂窩織炎などから優位に分離されるPrevotella intermediaを用いて最小発育阻止濃度 (MIC) とβ-lactamase活性を測定し, β-lactgm薬耐性に果たすβ-lactalnaseの役割を検討した。根管起因の閉鎖性膿瘍患者の内容液より分離した細菌のうち生化学的性状試験とマイクロプレートハイブリダイゼーション法の結果を用いてP.intermediaと同定した169株 (症例A: 52株, B: 35株, C: 82株) を実験に供試した。MIC90を症例ごとに比較すると症例AおよびCではampic...

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Published in日本化学療法学会雑誌 Vol. 43; no. 12; pp. 1099 - 1103
Main Authors 村田, 雄一, 杉原, 圭子, 多々見, 敏章, 栗林, 信仁, 山本, 憲二, 佐川, 寛典, 石川, 英雄, 尾上, 孝利, 大宮, 真紀, 松本, 和浩, 木下, 智, 糸永, 雄二郎, 白数, 力也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 25.12.1995
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ISSN1340-7007
1884-5886
DOI10.11250/chemotherapy1995.43.1099

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Summary:歯性感染症におけるβ-lactam薬耐性機構を解析するため, 閉鎖性膿瘍や蜂窩織炎などから優位に分離されるPrevotella intermediaを用いて最小発育阻止濃度 (MIC) とβ-lactamase活性を測定し, β-lactgm薬耐性に果たすβ-lactalnaseの役割を検討した。根管起因の閉鎖性膿瘍患者の内容液より分離した細菌のうち生化学的性状試験とマイクロプレートハイブリダイゼーション法の結果を用いてP.intermediaと同定した169株 (症例A: 52株, B: 35株, C: 82株) を実験に供試した。MIC90を症例ごとに比較すると症例AおよびCではampicillin (ABPC) とcefaclorの値が大きく100~200μg/ml, ついでlatamoxef, ceftizoximeおよびcefteramの順に値が大きく, cefmetazoleとimipenemの値はβ-lactam薬以外の薬剤と同様に小さかった。症例BのMIC90は症例AとCより小さかった。β-lactamase活性は各症例により異なり, 症例Aでは基質ABPCおよび基質cefazolin (CEZ) の両分解活性が高く, 症例Cでは基質CEZの分解活性が高く, 基質ABPCの分解活性は低く, 症例Bでは両分解活性がともに低かった。供試菌株由来β-lactamaseは基質CEZのみを分解する場合および基質ABPCと基質CEZをともに分僻する場合が多数を占めていた。β-Lactamase活性とβ-lactam薬のMICとの関係を検討した結果, β-lactamase活性が高い菌株の多くはMICも大きい値を示した。しかし, β-lactamase活性が低いがMICが大きい菌株も一部でみられた。以上の事実は, 歯性感染症から分離されるP.intermediaのβ-lactam薬耐性機構には基質CEZの分解活性の高いβ-lactamaseが深く関与することを示唆しているが, それ以外の耐性機構の存在も検討する必要があると考えられる。
ISSN:1340-7007
1884-5886
DOI:10.11250/chemotherapy1995.43.1099