下部大腸癌術前診断における Computed Tomographic Angiography の有用性について とくに壁深達度診断を中心に

下部大腸癌の術前検査としてcomputed tomographic angiography(以下CTAと略す)を行い通常骨盤CT(以下r-CTと略す),血管造影検査(以下SAGと略す)の診断成績との比較検討を行った.昭和56年4,月より昭和60年8月までの下部大腸癌の症例で,r-CT71例,CTA26例,SAG79例を検討した. 腫瘍の周径診断ではr-CT4例,CTA1例の誤診例を認めたが,共に診断率は高く有効な結果であった.壁深達度診断ではS-Ra群とRb-P群に分けて検討を行った.S-Ra群ではr-CT64.5%,CTA70%,SAG61.8%,Rb-P群ではr-CT70%,CTA 81....

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 39; no. 6; pp. 735 - 741
Main Authors 新藤, 健, 永澤, 康滋, 桑原, 利章, 森, 克彦, 亀谷, 寿彦, 柳田, 謙蔵, 吉雄, 敏文, 小林, 一雄
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本大腸肛門病学会 1986
Subjects
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.39.735

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Summary:下部大腸癌の術前検査としてcomputed tomographic angiography(以下CTAと略す)を行い通常骨盤CT(以下r-CTと略す),血管造影検査(以下SAGと略す)の診断成績との比較検討を行った.昭和56年4,月より昭和60年8月までの下部大腸癌の症例で,r-CT71例,CTA26例,SAG79例を検討した. 腫瘍の周径診断ではr-CT4例,CTA1例の誤診例を認めたが,共に診断率は高く有効な結果であった.壁深達度診断ではS-Ra群とRb-P群に分けて検討を行った.S-Ra群ではr-CT64.5%,CTA70%,SAG61.8%,Rb-P群ではr-CT70%,CTA 81.3%,SAG60%で,いずれもCTAが高い正診率を示した.CTAのもうひとつの特徴は腫瘍の質的判定の可能性である.今回の症例では粘液癌1例,carcinoma in adenomaのm癌が1例含まれていてCTA所見の違いが読影できた,さらにenhancementを行った時の高分化と中分化腺癌の所見の差を見出すことが今後の検討課題といえよう.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.39.735