パーキンソン病患者の転倒および二次的障害に関する対処と工夫 転倒により二次的障害を経験したことがない患者の語りから

目的:転倒による二次的障害(外傷・身体疾患)を経験したことがないパーキンソン病(Parkinson’s disease:以下PD)患者が、転倒や二次的障害を起こさないために行っている対処と工夫を明らかにする。  方法: Hoehn & Yahr 分類stageⅠ~ⅣのPD患者で転倒により二次的障害を経験したことがない者5名、その家族1名の計6名を対象に半構造化面接を実施し質的に分析した。  結果:PD患者が転倒や二次的障害を防ぐために行っている行動面の対処と工夫は、【症状を良好に保つための自己管理】【日内変動に合わせた行動】【歩行時の安定性の確保】【転倒時の衝撃を少なくする転び方の体得...

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Published in医療看護研究 Vol. 18; no. 1; pp. 53 - 62
Main Authors 湯浅, 美千代, 島田, 広美, 河西, 恵美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 順天堂大学医療看護学部 2021
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ISSN1349-8630
2758-5123
DOI10.60254/jhcn.18.1_53

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Summary:目的:転倒による二次的障害(外傷・身体疾患)を経験したことがないパーキンソン病(Parkinson’s disease:以下PD)患者が、転倒や二次的障害を起こさないために行っている対処と工夫を明らかにする。  方法: Hoehn & Yahr 分類stageⅠ~ⅣのPD患者で転倒により二次的障害を経験したことがない者5名、その家族1名の計6名を対象に半構造化面接を実施し質的に分析した。  結果:PD患者が転倒や二次的障害を防ぐために行っている行動面の対処と工夫は、【症状を良好に保つための自己管理】【日内変動に合わせた行動】【歩行時の安定性の確保】【転倒時の衝撃を少なくする転び方の体得】【転倒後、自力での起き上がり行動の体得】【筋力と骨の維持・強化】の6カテゴリー、 認知的な対処と工夫は、【転倒に注意を向けた歩行】【自分の転倒しやすい状況のキャッチと対処】の2カテゴリー、社会的サポートを活用した対処と工夫は、【他者による歩行時の転倒予防と転倒後の早期起き上がり補助】【家族による薬剤調整の手助け】の2カテゴリー、計10カテゴリーで構成された。  結論:転倒による二次的障害を経験したことがないPD患者では、身体を良好に保持する自己管理を基盤に、自身の症状や転倒リスクを認知することで転倒や二次的障害を防いでいると考えられた。PD患者が症状やリスクを認知できるような医療者の関わりや、患者をサポートする体制構築の必要性が示唆された。
ISSN:1349-8630
2758-5123
DOI:10.60254/jhcn.18.1_53