機能性便排出障害症例における骨盤傾斜と排便造影検査項目の相関について O-165 測定・評価
【はじめに】 当院では機能性便排出障害(Obstructed defecataion syndrome:以下、ODS)の評価の1つとして排便造影検査(defecography)を実施している。骨盤傾斜や回旋の角度を画像を用いて評価する方法は多岐に渡るが、排便造影検査時には腰椎、仙骨を全て撮影することは困難である。そこで今回、排便造影時に必ず用いる恥骨と尾骨を結ぶ直線(pubococygeal line:PC line)と床面とのなす角を測定し、他の検査項目にどのように影響しているのかを調査したので報告する。【対象と方法】 対象は2019年9月から2023年2月までに排便障害を主訴に入院した11...
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Published in | 九州理学療法士学術大会誌 p. 165 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
2023
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Subjects | |
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ISSN | 2434-3889 |
DOI | 10.32298/kyushupt.2023.0_165 |
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Summary: | 【はじめに】 当院では機能性便排出障害(Obstructed defecataion syndrome:以下、ODS)の評価の1つとして排便造影検査(defecography)を実施している。骨盤傾斜や回旋の角度を画像を用いて評価する方法は多岐に渡るが、排便造影検査時には腰椎、仙骨を全て撮影することは困難である。そこで今回、排便造影時に必ず用いる恥骨と尾骨を結ぶ直線(pubococygeal line:PC line)と床面とのなす角を測定し、他の検査項目にどのように影響しているのかを調査したので報告する。【対象と方法】 対象は2019年9月から2023年2月までに排便障害を主訴に入院した118症例の中で骨盤底筋の機能に問題がある男性のODS症例23例(73.6歳±14.5)とした。除外基準として直腸重積などの器質性排便困難型症例やODS症例の中でも腹圧低下に問題のある症例、人工股関節全置換術等の股関節の手術の既往がある症例、神経筋疾患に問題がある症例を除外した。上記のような除外基準を設定した場合、女性は症例数が少なかったため今回は男性のみで調査を行った。 調査内容は排便造影時の静止画を用いて安静時(rest)、収縮時(squeeze)、努責時(strain)の直腸肛門角(anorectal angle:ARA)、会陰下垂(perineal descent:PD)、恥骨直腸筋(puborectalis:PR)とPC-lineと床面とのなす角度(以下、PC-line傾斜角)と各項目をSpearmanの順位相関係数を用いて検定を行なった。【倫理的配慮】 当院の倫理委員会の許可のもと(22-41)、介入・計測を行った。【結果】 PC-line傾斜角とARAはrest(p<0.05 rs=0.42)、squeeze(p<0.05 rs=0.45)、strain(p<0.05 rs=0.46)で正の相関がみられた。その他の項目では相関はみられなかった。【考察】 今回PC-line傾斜角と排便造影で評価するARA、PD、PRとの相関を調査した。PC-line傾斜角とARAで正の相関がみられた。槌野によると前屈座位と直立座位で比較した際にARAは前屈位で有意に鈍化したと報告している。排便時はARAを鈍化させるために体幹前屈位をとるように臨床では指導を行っているが、骨盤後傾した状態で体幹の前屈位をとる症例も多くみられる。今回の結果からPC line傾斜角が前傾になるとARAは鈍化する可能性があると考える。また、端座位で骨盤前傾を促すためには股関節の屈曲可動域も関与している可能性があるため今後調査を継続していく必要があると考える。 |
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ISSN: | 2434-3889 |
DOI: | 10.32298/kyushupt.2023.0_165 |