二波長レーダーで観測される融解中の雪片の微物理過程 第I部モデル計算に基づく測定の原理

二波長レーダーが,融解層における微物理過程を検出するのに有効かどうかを,モデル計算に基づいて議論した。 融解層の非併合非分裂モデルと,併合•分裂モデルについて,降水粒子によるマイクロ波の散乱を計算し,3.21cmと5.6cmの二波長について,レーダー反射強度の鉛直プロファイルを求めた。その結果,融解層の上半部においては,この二波長で融解中の雪片の併合分裂による粒径分布の変化を検出できることがわかった。これはマイクロ波散乱の粒径変化に対する感度が,波長によって異なっているのに対して,雪片の落下速度のようなパラメータの変化に対する感度は,この二波長では同程度であるということに基づいている。そこで,...

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Published in気象集誌. 第2輯 Vol. 62; no. 4; pp. 650 - 667
Main Authors 田中, 浩, 横山, 辰夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本気象学会 1984
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ISSN0026-1165
2186-9057
DOI10.2151/jmsj1965.62.4_650

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Summary:二波長レーダーが,融解層における微物理過程を検出するのに有効かどうかを,モデル計算に基づいて議論した。 融解層の非併合非分裂モデルと,併合•分裂モデルについて,降水粒子によるマイクロ波の散乱を計算し,3.21cmと5.6cmの二波長について,レーダー反射強度の鉛直プロファイルを求めた。その結果,融解層の上半部においては,この二波長で融解中の雪片の併合分裂による粒径分布の変化を検出できることがわかった。これはマイクロ波散乱の粒径変化に対する感度が,波長によって異なっているのに対して,雪片の落下速度のようなパラメータの変化に対する感度は,この二波長では同程度であるということに基づいている。そこで,二波長レーダーによる測定は,融解層での粒径分布の変化を知る上で,有効であることがわかった。
ISSN:0026-1165
2186-9057
DOI:10.2151/jmsj1965.62.4_650