凝結熱垂直分布推定のためのアルゴリズム TRMMへの応用
凝結熱は水の様々な相変化(気体、液体、固体)の過程で生じる。大気中の水成分の垂直分布から、雲システムに伴う凝結熱を推定するアルゴリズム(水/凝結熱アルゴリズム)がTao他(1990)によって開発された。このアルゴリズムは非静水圧系の雲モデルをもとに導出された。本論文では、水/凝結熱アルゴリズムの改良と、様々な地域の雲システムに適用した時の結果について議論を行った。また、このアルゴリズムに、多チャンネルマイクロ波から得られた水成分の垂直分布や地上降水量の観測値を取り入れた結果についても報告する。 水/凝結熱アルゴリズムには氷や水滴等の垂直分布の情報が必要である。これらの水成分の垂直分布は、TRM...
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| Published in | 気象集誌. 第2輯 Vol. 71; no. 6; pp. 685 - 700 |
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| Format | Journal Article |
| Language | English Japanese |
| Published |
公益社団法人 日本気象学会
1993
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0026-1165 2186-9057 |
| DOI | 10.2151/jmsj1965.71.6_685 |
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| Summary: | 凝結熱は水の様々な相変化(気体、液体、固体)の過程で生じる。大気中の水成分の垂直分布から、雲システムに伴う凝結熱を推定するアルゴリズム(水/凝結熱アルゴリズム)がTao他(1990)によって開発された。このアルゴリズムは非静水圧系の雲モデルをもとに導出された。本論文では、水/凝結熱アルゴリズムの改良と、様々な地域の雲システムに適用した時の結果について議論を行った。また、このアルゴリズムに、多チャンネルマイクロ波から得られた水成分の垂直分布や地上降水量の観測値を取り入れた結果についても報告する。 水/凝結熱アルゴリズムには氷や水滴等の垂直分布の情報が必要である。これらの水成分の垂直分布は、TRMMのレーダーやマイクロ波放射計から直接・間接的に得られるが、このアルゴリズムではさらに水や氷の粒子の大きさの区別が必要である。そのために、2番目のアルゴリズム(対流-層状雲凝結アルゴリズム)を開発した。この新しいアルゴリズムの入力データとしては地上での降水強度と層状雲による降水量が必要である。また、このアルゴリズムには異なった地域の様々な雲システムに伴う凝結熱分布の比較表が必要である。本論文ではこのアルゴリズムの使用法と適用例について議論を行った。 |
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| ISSN: | 0026-1165 2186-9057 |
| DOI: | 10.2151/jmsj1965.71.6_685 |