質量分析法による模擬星間じん陽子線照射生成物の分析

宇宙空間には様々な有機物が存在することが知られるようになり,星間じん(塵)や,それが成長してできると考えられているすい星中の有機物は,地球上の生命の起源や他の天体上の生命の存在を考える上で注目されている.著者らは,クライオスタット中で一酸化炭素あるいはメタン・アンモニア・水を原料とした模擬星間じんを作製し,宇宙線の主成分である陽子線を照射して,星間じん及びすい星中での有機物の生成について検討した.揮発性の生成物を検出するために,クライオスタットに直結した四重極質量分析計を用い,生成物中に,炭化水素やアルコールといった分子が存在していることを見いだした.又,不揮発成分の中には,酸加水分解してアミ...

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Published in分析化学 Vol. 45; no. 6; pp. 569 - 574
Main Authors 笠松, 隆志, 土屋, 正彦, 金子, 竹男, 小林, 憲正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.06.1996
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.45.569

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Summary:宇宙空間には様々な有機物が存在することが知られるようになり,星間じん(塵)や,それが成長してできると考えられているすい星中の有機物は,地球上の生命の起源や他の天体上の生命の存在を考える上で注目されている.著者らは,クライオスタット中で一酸化炭素あるいはメタン・アンモニア・水を原料とした模擬星間じんを作製し,宇宙線の主成分である陽子線を照射して,星間じん及びすい星中での有機物の生成について検討した.揮発性の生成物を検出するために,クライオスタットに直結した四重極質量分析計を用い,生成物中に,炭化水素やアルコールといった分子が存在していることを見いだした.又,不揮発成分の中には,酸加水分解してアミノ酸になるアミノ酸前駆体が存在することを確認した.この結果は,宇宙空間における宇宙線による有機物の生成を示唆するものである.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.45.569