超高磁場MRI装置による両側顎関節同時撮像

超高磁場MRIはS/Nが高いため, コントラストが良好で解剖学的な構造の描出能に優れているとされている。この研究の目的は, 3.0T-MRIに独自のコイルユニットを用いた顎関節撮像システムの有用性を検討することである。今回の研究に用いたコイルユニットは2個の受信用サーフェスコイルとコイルホルダーから構成され, 左右顎関節の同時撮像が可能である。 3名の男性と1名の女性の被験者に対し左右顎関節の矢状断撮像を両側同時に行い, 2通りのファストスピンエコーシーケンスを決定した。一つは, 画質を優先した下顎安静位での撮像に適したシーケンス, もう一つは顎関節の動態を分析する目的で, 下顎安静位, 中間...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 17; no. 2; pp. 162 - 169
Main Authors 藤澤, 政紀, 石橋, 寛二, 郷土, 恵久, 金村, 清孝, 河野, 雅俊, 東海林, 理, 中里, 龍彦, 田邉, 憲昌, 依田, 淳一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.08.2005
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu1989.17.162

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Summary:超高磁場MRIはS/Nが高いため, コントラストが良好で解剖学的な構造の描出能に優れているとされている。この研究の目的は, 3.0T-MRIに独自のコイルユニットを用いた顎関節撮像システムの有用性を検討することである。今回の研究に用いたコイルユニットは2個の受信用サーフェスコイルとコイルホルダーから構成され, 左右顎関節の同時撮像が可能である。 3名の男性と1名の女性の被験者に対し左右顎関節の矢状断撮像を両側同時に行い, 2通りのファストスピンエコーシーケンスを決定した。一つは, 画質を優先した下顎安静位での撮像に適したシーケンス, もう一つは顎関節の動態を分析する目的で, 下顎安静位, 中間開口位, および最大開口位の3顎位の撮像のために時間を短縮したシーケンスである。 画質を優先したシーケンスで撮像して得られた画像では関節円板, 下顎頭, 円板後部組織が明瞭に描出された。また同一のシーケンスで1.5T-MRIで得られた画像と比較してもS/Nが良好で明瞭な画像であった。顎関節の動態分析を想定したシーケンスでは, 日常臨床で用いている1.5T-MRIによるものと同等の画像を半分の時間で得ることができた。 今回の結果より3.0T-MRIに両側表面コイルユニットを併用した撮像システムは顎関節構造の描出と, 関節円板の動態および下顎頭滑走運動の分析において有用であると思われ, 顎関節症患者の診査へ寄与することが期待された。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.17.162