銅及び亜鉛キレート形成によるangiotensin-converting enzyme(ACE)阻害剤エナラプリラトの脂溶性増加
「緒言」アンジオテンシン変換酵素(angiotensin-converting enzyme ; ACE, EC 3.4.15.1)は, 活性中心に亜鉛イオンを有するメタロプロテアーゼである. その生理機能は, 不活性型のアンジオテンシンIを血圧上昇作用を持つII型に変換して血圧を制御することである. アンジオテンシン変換酵素の阻害剤は, アンジオテンシンIIの生成を抑制するとともに, 血圧降下作用を有するブラジキニンの分解を抑制する. エナラプリル(enalapril, Fig.1)は, アンジオテンシン変換酵素を阻害する代表的な医薬品の1つである.1) 生体内に取り込まれたエナラプリル(両...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 133; no. 10; pp. 1135 - 1141 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本薬学会
01.10.2013
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ISSN | 0031-6903 |
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Summary: | 「緒言」アンジオテンシン変換酵素(angiotensin-converting enzyme ; ACE, EC 3.4.15.1)は, 活性中心に亜鉛イオンを有するメタロプロテアーゼである. その生理機能は, 不活性型のアンジオテンシンIを血圧上昇作用を持つII型に変換して血圧を制御することである. アンジオテンシン変換酵素の阻害剤は, アンジオテンシンIIの生成を抑制するとともに, 血圧降下作用を有するブラジキニンの分解を抑制する. エナラプリル(enalapril, Fig.1)は, アンジオテンシン変換酵素を阻害する代表的な医薬品の1つである.1) 生体内に取り込まれたエナラプリル(両性イオン型の酸解離定数pKa=5.4)は, 体内のエステラーゼによりエトキシカルボニル基が加水分解されて活性型のエナラプリラト(enalaprilat, Fig.1)になる. エナラプリルの成人に対する標準的な投与量は, マレイン酸塩として5-10mg/dayであり, 長期にわたって服用する場合が多い. |
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ISSN: | 0031-6903 |