人工飼料による蚕の飼育試験

現段階における人工飼料の実用性の限度を知る目的でこれによる蚕の飼育試験を行ない, 蚕児の経過, 減蚕歩合, 繭質, 産卵数などを調べた。蚕の飼育は (i) 全令人工飼料 (ii) 稚蚕期人工飼料・壮蚕期桑葉という二つの形で行なった。この何れの場合も減蚕歩合は決して高いものではなく, 桑葉による全令飼育に比して遜色のないくらいであったが, 経過は一般に1, 2日ないし数日長くなった。ただしこれは飼育型式で異なっていた。全令人工飼料では繭層重は桑葉飼育の約6割であったが, 1令期のみ人工飼料では9.5割, 1~2令期のみでは8.5~9割, 1~3令期のみでは7~8割であった。また1~2令人工飼料で...

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Published in日本蚕糸学雑誌 Vol. 31; no. 2; pp. 73 - 80
Main Authors 荒井, 成彦, 伊藤, 智夫, 田中, 元三, 渡辺, 喜二郎, 堀江, 保宏
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本蚕糸学会 30.04.1962
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ISSN0037-2455
1884-796X
DOI10.11416/kontyushigen1930.31.73

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Summary:現段階における人工飼料の実用性の限度を知る目的でこれによる蚕の飼育試験を行ない, 蚕児の経過, 減蚕歩合, 繭質, 産卵数などを調べた。蚕の飼育は (i) 全令人工飼料 (ii) 稚蚕期人工飼料・壮蚕期桑葉という二つの形で行なった。この何れの場合も減蚕歩合は決して高いものではなく, 桑葉による全令飼育に比して遜色のないくらいであったが, 経過は一般に1, 2日ないし数日長くなった。ただしこれは飼育型式で異なっていた。全令人工飼料では繭層重は桑葉飼育の約6割であったが, 1令期のみ人工飼料では9.5割, 1~2令期のみでは8.5~9割, 1~3令期のみでは7~8割であった。また1~2令人工飼料では産卵数は低下することはなかった。以上の成績から人工飼料の実用化の可能性を考察した。なお比較的手軽に作りうる人工飼料は, 桑葉粉末, バレイショ澱粉, 大豆カゼイン (脱脂大豆粉末で代用できる), 糖, アスコルビン酸からなる簡単な組成であることも示した。
ISSN:0037-2455
1884-796X
DOI:10.11416/kontyushigen1930.31.73