長期尿管ステント留置患者に発症した尿管動脈瘻の1例

「抄録:」症例は66歳, 女性. 201X年6月19日に子宮頸癌に対して広汎子宮全摘術及び骨盤内リンパ節郭清術を施行し, 7月19日から9月6日まで術後化学放射線療法(外部照射50.4 Gy, 腔内照射24.0 Gy, シスプラチン計3コース)が施行された. 手術の際に両側尿管ステントを留置し, 8月14日に両側とも尿管ステントは抜去した. その後201X+1年1月24日に両側水腎症を認め, 両側尿管ステントを再留置した. 以降定期の両側の尿管ステント交換を開始した. 201X+4年4月5日, 尿管ステント定期交換のため左尿管ステントを抜去した際に, 強い血尿が出現した. しかし血尿はステント...

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Published in西日本泌尿器科 Vol. 85; no. 6; pp. 405 - 409
Main Authors 森慎太郎, 福島始, 河田賢, 松田剛, 迎祐太, 荒木杏平, 今里祐之, 古川正隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.08.2023
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ISSN0029-0726

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Summary:「抄録:」症例は66歳, 女性. 201X年6月19日に子宮頸癌に対して広汎子宮全摘術及び骨盤内リンパ節郭清術を施行し, 7月19日から9月6日まで術後化学放射線療法(外部照射50.4 Gy, 腔内照射24.0 Gy, シスプラチン計3コース)が施行された. 手術の際に両側尿管ステントを留置し, 8月14日に両側とも尿管ステントは抜去した. その後201X+1年1月24日に両側水腎症を認め, 両側尿管ステントを再留置した. 以降定期の両側の尿管ステント交換を開始した. 201X+4年4月5日, 尿管ステント定期交換のため左尿管ステントを抜去した際に, 強い血尿が出現した. しかし血尿はステントを再留置ししばらくすると自然に改善した. その後も左尿管ステント交換時に同じ現象がみられ, 貧血が進行するため, 交換後に輸血を要するようになった. 逆行性尿路造影では, 左総腸骨動脈に造影剤漏出と尿管カテーテルからの拍動性出血を認め, 尿管動脈瘻の診断となった. 開腹による瘻孔閉鎖術を試みたが, 癒着が強く剥離困難であったため断念, そのまま血管造影室に移動し左総腸骨動脈にステントグラフト留置を行った. その後左尿管ステント抜去し左腎瘻管理を行っているが, 血尿の再発なく経過している.
ISSN:0029-0726