eribulinが著効した後腹膜脱分化型脂肪肉腫の一例

「抄録」: 症例は51歳, 男性. 近医での腹部超音波検査にて右腎に接する後腹膜腫瘍を疑われたため, 精査加療目的に当院紹介となった. 初診時, 造影CT検査にて右後腹膜腔に最大10cmの内部に壊死を伴う腫瘍を認めた. 後腹膜悪性軟部腫瘍と診断し, 後腹膜腫瘍摘除術を施行した. 病理組織学的検査では, HE染色で大小不同や核型不整など多形性を有する腫瘍細胞の密な増殖と粘液腫状間質を背景にした腫瘍細胞のびまん性増殖を認めた. 免疫染色ではMDM2およびCDK4が陽性の所見を認め, 脱分化型脂肪肉腫と診断した. 術後補助療法は施行せず, CT検査による経過観察を行っていたところ, 術後5カ月目に局...

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Published in西日本泌尿器科 Vol. 85; no. 5; pp. 371 - 375
Main Authors 水嶋唯, 富崎一向, 寺戸三千和, 稲富久人, 湊晶規, 原田健一, 藤本直浩, 原田佳和, 島尻正平, 中山敏幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.06.2023
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ISSN0029-0726

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Summary:「抄録」: 症例は51歳, 男性. 近医での腹部超音波検査にて右腎に接する後腹膜腫瘍を疑われたため, 精査加療目的に当院紹介となった. 初診時, 造影CT検査にて右後腹膜腔に最大10cmの内部に壊死を伴う腫瘍を認めた. 後腹膜悪性軟部腫瘍と診断し, 後腹膜腫瘍摘除術を施行した. 病理組織学的検査では, HE染色で大小不同や核型不整など多形性を有する腫瘍細胞の密な増殖と粘液腫状間質を背景にした腫瘍細胞のびまん性増殖を認めた. 免疫染色ではMDM2およびCDK4が陽性の所見を認め, 脱分化型脂肪肉腫と診断した. 術後補助療法は施行せず, CT検査による経過観察を行っていたところ, 術後5カ月目に局所再発を認めたため, AI(doxorubicin, ifosfamide)療法を2コース施行するも効果を認めなかった. 二次治療としてeribulin療法を6コース施行したところ, 腫瘍の消失を認め, complete response(CR)と判断した. その後もeribulin療法を継続し, 治療開始23カ月が経過した現在もCRを維持している.
ISSN:0029-0726