画像上腎細胞癌が疑われた後腹膜リンパ脈管筋腫症 (LAM) の一例
「抄録」: 症例は63歳, 男性. 近医泌尿器科に前立腺肥大症にて通院中であった. 腹部超音波検査にて偶発的に右腎上極に嚢胞性腫瘤を指摘され, 精査加療目的に当科紹介となった. 超音波で右腎背側に33×25mmの低輝度腫瘤を認め, 腫瘤基部にわずかに血流を認めた. 腹部造影CTで同部位に突出する腫瘤を認め, 内部に早期濃染, 後期洗い出しを呈する充実成分を認めた. また腹部造影MRIでも同様に腎背側に突出する腫瘤を認め, 内部に早期濃染, 後期洗い出しを呈する充実成分を認めたため, 嚢胞性腎細胞癌が疑われた. そのためロボット支援腹腔鏡下右腎部分切除術を施行したところ, 病理診断はリンパ脈管筋...
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Published in | 西日本泌尿器科 Vol. 85; no. 5; pp. 381 - 385 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本泌尿器科学会
01.06.2023
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ISSN | 0029-0726 |
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Summary: | 「抄録」: 症例は63歳, 男性. 近医泌尿器科に前立腺肥大症にて通院中であった. 腹部超音波検査にて偶発的に右腎上極に嚢胞性腫瘤を指摘され, 精査加療目的に当科紹介となった. 超音波で右腎背側に33×25mmの低輝度腫瘤を認め, 腫瘤基部にわずかに血流を認めた. 腹部造影CTで同部位に突出する腫瘤を認め, 内部に早期濃染, 後期洗い出しを呈する充実成分を認めた. また腹部造影MRIでも同様に腎背側に突出する腫瘤を認め, 内部に早期濃染, 後期洗い出しを呈する充実成分を認めたため, 嚢胞性腎細胞癌が疑われた. そのためロボット支援腹腔鏡下右腎部分切除術を施行したところ, 病理診断はリンパ脈管筋腫症(Lymphangioleiomyomatosis: LAM)であった. LAMはもともと稀な疾患であり, 肺に好発するとされている. そのなかでも後腹膜発生のLAMは極めて稀である. また画像診断だけでは他の腎腫瘍と鑑別は困難であり, 病理診断により偶発的に診断されることが多い. 今回, 術前画像検査では診断困難な後腹膜LAMの一例を経験したため, 若干の文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0029-0726 |