コレステロール塞栓症の治療経過中に Pneumocystis carinii と Cytomegalo virus の混合感染による肺炎をきたした1症例
コレステロール塞栓症は大動脈などの大血管壁の粥状硬化巣よりコレステロール結晶が飛散し, 末梢の小動脈を閉塞して多臓器障害をきたす疾患である。血管内カテーテル手技, 心血管手術, 抗凝固療法, 線溶療法などが誘因となり, 臨床症状としては腎不全, 心不全, 四肢末端の血色不良や網状皮斑といった皮膚症状や, 上腹部痛, 視力低下などの多臓器障害を呈する予後不良の疾患である。 今回われわれは, 経皮的経カテーテル冠動脈形成術後にコレステロール塞栓症を発症した患者 (63歳, 男性) で, ステロイド (prednisolone 20mg, 3カ月) 内服中 Pneumocystis carinii...
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Published in | 日本腎臓学会誌 Vol. 48; no. 5; pp. 416 - 420 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本腎臓学会
25.07.2006
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ISSN | 0385-2385 1884-0728 |
DOI | 10.14842/jpnjnephrol1959.48.416 |
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Summary: | コレステロール塞栓症は大動脈などの大血管壁の粥状硬化巣よりコレステロール結晶が飛散し, 末梢の小動脈を閉塞して多臓器障害をきたす疾患である。血管内カテーテル手技, 心血管手術, 抗凝固療法, 線溶療法などが誘因となり, 臨床症状としては腎不全, 心不全, 四肢末端の血色不良や網状皮斑といった皮膚症状や, 上腹部痛, 視力低下などの多臓器障害を呈する予後不良の疾患である。 今回われわれは, 経皮的経カテーテル冠動脈形成術後にコレステロール塞栓症を発症した患者 (63歳, 男性) で, ステロイド (prednisolone 20mg, 3カ月) 内服中 Pneumocystis carinii と Cytomegalo virus の混合感染による肺炎をきたし重篤な経過を辿った1症例を経験した。急速に呼吸状態が悪化し一時的に人工呼吸器管理, 血液透析療法を要したが, 抗菌薬・抗ウイルス薬の投与で肺炎は治癒した。 本症の治療としては病態によってステロイドホルモンの投与が推奨されているが, 投与方法や抗生剤の予防的投与の是非についてはいまだ確立されておらず, 今後の検討課題と考えられた。 |
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ISSN: | 0385-2385 1884-0728 |
DOI: | 10.14842/jpnjnephrol1959.48.416 |