小児顎関節症患者の追跡調査

1988年1月から1989年12月に当科を受診した15歳以下の小児顎関節症患者112例のうち, 86例を対象とし, 初診から5年以上経過した症例についてアンケート調査およびリコールを行った。アンケート回収数は49例 (回収率57.0%) で, うちリコール可能数は14例 (28.5%) であった。調査項目は, 疼痛の有無と程度, 顎運動時雑音の有無と性質および通院後の変化, 開口度, アンケート時点での満足度である。疼痛では, 初診時, 疼痛を有したのは38例, アンケート時には23例であったが, 疼痛程度は18例が“弱”を選択し大多数が軽度で, リコール時の診察においても, アンケート回答に...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 10; no. 1; pp. 36 - 50
Main Authors 小林, 淳二, 和気, 裕之, 小林, 明子, 佐々木, 英一郎, 佐藤, 文明, 木野, 孔司, 天笠, 光雄, 熊切, 篤, 渋谷, 智明, 大村, 欣章, 小宮山, 高之, 渋谷, 寿久, 伊藤, 博哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.04.1998
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu1989.10.36

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Summary:1988年1月から1989年12月に当科を受診した15歳以下の小児顎関節症患者112例のうち, 86例を対象とし, 初診から5年以上経過した症例についてアンケート調査およびリコールを行った。アンケート回収数は49例 (回収率57.0%) で, うちリコール可能数は14例 (28.5%) であった。調査項目は, 疼痛の有無と程度, 顎運動時雑音の有無と性質および通院後の変化, 開口度, アンケート時点での満足度である。疼痛では, 初診時, 疼痛を有したのは38例, アンケート時には23例であったが, 疼痛程度は18例が“弱”を選択し大多数が軽度で, リコール時の診察においても, アンケート回答に比べると疼痛はさらに軽度であったり, みられないという結果であった。雑音は, 初診時45例, アンケート時41例であったが, 初診時との比較では雑音を強く訴えたものはわずか3例のみであった。開口量では初診時, 40mm未満16例, 40mm以上33例で, アンケート時には, 48例が三横指以上, またリコール症例は全て40mm以上であった。リコール時の単純エックス線像で, 下顎頭の骨変形がみられたものは, 2例であったことを考え合わせると多くの患者は比較的良好に症状の改善を果たしていると推測された。顎機能に対する満足度でも不満を訴えるものは少なく, 項目的には雑音に対する不満が大半であった。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.10.36