歯石がセメント質におよぼす影響についての組織学的研究

歯石がセメント質におよぼす影響を検索するため, 歯根面に歯石の沈着した歯牙を用いて乳酸脱灰ツェロイジン二重包埋法による連続切片標本を作製し, 光顕的観察を行なった。また, 走査電顕による観察もあわせ行なった。 セメント象牙境より, あるいはセメント層板にそって剥離したセメント質の内側に歯石が沈着した歯牙は100本中33本であり, その発現部位は唇 (頬) 側より舌側に多く, また, 前歯, 臼歯とも歯根の上部, 中央部に多く認められた。 このような状態を生じる過程として, スケーラーなどによる物理的な原因, あるいは外傷, 炎症などの病的な原因により, セメント質が一部剥離して, その内側に歯...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 20; no. 4; pp. 669 - 689
Main Authors 中川, 宏明, 小高, 鉄男, 井村, 哲子, 東, 昇平, 小林, 美由紀
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 歯科基礎医学会 1978
Online AccessGet full text
ISSN0385-0137
DOI10.2330/joralbiosci1965.20.669

Cover

More Information
Summary:歯石がセメント質におよぼす影響を検索するため, 歯根面に歯石の沈着した歯牙を用いて乳酸脱灰ツェロイジン二重包埋法による連続切片標本を作製し, 光顕的観察を行なった。また, 走査電顕による観察もあわせ行なった。 セメント象牙境より, あるいはセメント層板にそって剥離したセメント質の内側に歯石が沈着した歯牙は100本中33本であり, その発現部位は唇 (頬) 側より舌側に多く, また, 前歯, 臼歯とも歯根の上部, 中央部に多く認められた。 このような状態を生じる過程として, スケーラーなどによる物理的な原因, あるいは外傷, 炎症などの病的な原因により, セメント質が一部剥離して, その内側に歯石が侵入沈着した場合と, セメント質の消失面や吸収窩に沈着した歯石が, セメント象牙境あるいはセメント層板にそって侵入し, セメント質の一部を徐々に外方へ押し上げた場合などを考察した。 セメント質内側に沈着した歯石は, 走査電顕的に多くは顆粒状ないしは桿状構造を呈した。また, サイコロ状の結晶様構造物も観察された。
ISSN:0385-0137
DOI:10.2330/joralbiosci1965.20.669