群馬県山間地域住民のアポリポ蛋白E遺伝子頻度およびアポリポ蛋白E受容体結合蛋白の検討

群馬県山間部地域の高齢健常者141名を対象にアルツハイマー病 (AD) の危険因子であるアポリポ蛋白E (アポE) のε4遺伝子頻度とその年代別推移, 血清コレステロール値とアポE表現型との相関, およびアポE受容体であるLDL関連蛋白 (LRP) に結合するα2-macroglobulin (α2M) と plasminogen activator inhibitor 1 (PAI-1) の血中濃度とアポE表現型との相関を検討した. アポE遺伝子頻度はε2; 0.04, ε3; 0.85, ε4; 0.11で, これまでの日本人の報告とほぼ一致していた. ε4遺伝子頻度は60歳代で0.06と...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 34; no. 3; pp. 196 - 201
Main Authors 村松, 慎一, 大塚, 美恵子, 植木, 彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 25.03.1997
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.34.196

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Summary:群馬県山間部地域の高齢健常者141名を対象にアルツハイマー病 (AD) の危険因子であるアポリポ蛋白E (アポE) のε4遺伝子頻度とその年代別推移, 血清コレステロール値とアポE表現型との相関, およびアポE受容体であるLDL関連蛋白 (LRP) に結合するα2-macroglobulin (α2M) と plasminogen activator inhibitor 1 (PAI-1) の血中濃度とアポE表現型との相関を検討した. アポE遺伝子頻度はε2; 0.04, ε3; 0.85, ε4; 0.11で, これまでの日本人の報告とほぼ一致していた. ε4遺伝子頻度は60歳代で0.06と最も低く, 80歳以上の高齢者では0.17とむしろ高かった。血清総コレステロール値, LDLコレステロール値, HDLコレステロール値はアポE表現型と相関しなかった. 血中α2M濃度は加齢とともに増加し女性の方が男性より高かった. 血中PAI-1濃度は男性の方が女性より高かったが, 加齢による変化はなかった. 血中α2MとPAI-1濃度はいずれもアポE表現型とは相関しなかった. 欧米白人では60歳以降ε4遺伝子頻度が減少すると言われるが, 今回の調査では80歳以上の高齢健常者でもε4保有者が相当数存在することが示された. 今回調査した地域に特異な点か否かさらに検討を要する. また血中α2MとPAI-1濃度の測定は健常人ではアポE受容体側の状態を推測する示標にはならないと考えられる. 今後はADでの検討が必要である.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.34.196