大学病院からみた老年病専門医の役割

高齢者の疾病は単に臓器別の疾患として捉えるのみでは不十分で, 多臓器障害の様相を呈する事が多く, その治療には加齢による臓器機能の低下も含めた包括的医療が要求される. よって, 大学病院における老年病専門医の役割は重要で, 旧来の縦割りの医局制を超えて臓器別医療の総括を行い, 全身を診る Geriatric General Physician としての役割が要求される. また, 21世紀国が奨める医療は, 前述のように各臓器障害の診断, 治療のみならず個々人を尊重しての全人的医療であり, これはまさに老年医療が目指すものに他ならない. よって, これからの医療の担い手である医学生, 初期研修医...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 43; no. 4; pp. 433 - 436
Main Authors 佐々木, 英忠, 山谷, 睦雄, 荒井, 啓行, 大類, 孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 25.07.2006
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.43.433

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Summary:高齢者の疾病は単に臓器別の疾患として捉えるのみでは不十分で, 多臓器障害の様相を呈する事が多く, その治療には加齢による臓器機能の低下も含めた包括的医療が要求される. よって, 大学病院における老年病専門医の役割は重要で, 旧来の縦割りの医局制を超えて臓器別医療の総括を行い, 全身を診る Geriatric General Physician としての役割が要求される. また, 21世紀国が奨める医療は, 前述のように各臓器障害の診断, 治療のみならず個々人を尊重しての全人的医療であり, これはまさに老年医療が目指すものに他ならない. よって, これからの医療の担い手である医学生, 初期研修医, 大学院生を対象にした老年医学教育は重要で, そのための魅力ある教育カリキュラムの作成は老年病専門医の重要な任務である. また, これまで展開してきた要介護高齢者を対象とした臨床研究の結果をもとに, 現在のわが国における老年症候群の克服に向けての課題を明らかにし, 老年病医として Evidence に基づく解決策を提言することも重要な責務と考える.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.43.433