長距離走者に対する過回内足矯正の効果について

「はじめに」正常歩行において, 足部および足関節は踵着床期から趾離床期にかけて外返し位から内返し位となるが1), 立脚中期以降に外返し位が残存した状態を過回内足という2)(図1). 長距離走者においては, この過回内足が, アキレス腱障害3),4)やシンスプリント5)など下肢スポーツ障害の一因と考えられており6), その治療法として足底挿板の有効性が報告されている7-9). しかし, そのメカニズムに関してはいまだ不明な点が多い10),11). 足底挿板による過回内足矯正による運動能力向上効果に関しては, 研究者の統一見解はないが12-16), 外返し位は中間位までは矯正されないものの, ある...

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Published in帝京大学スポーツ医療研究 Vol. 3; pp. 1 - 5
Main Authors 安井洋一, 高尾昌人, 蛭間栄介, 宮本亘, 印南健, 中野孝行, 松下隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 帝京大学医療技術学部スポーツ医療学科 28.02.2011
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ISSN1883-406X

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Summary:「はじめに」正常歩行において, 足部および足関節は踵着床期から趾離床期にかけて外返し位から内返し位となるが1), 立脚中期以降に外返し位が残存した状態を過回内足という2)(図1). 長距離走者においては, この過回内足が, アキレス腱障害3),4)やシンスプリント5)など下肢スポーツ障害の一因と考えられており6), その治療法として足底挿板の有効性が報告されている7-9). しかし, そのメカニズムに関してはいまだ不明な点が多い10),11). 足底挿板による過回内足矯正による運動能力向上効果に関しては, 研究者の統一見解はないが12-16), 外返し位は中間位までは矯正されないものの, ある程度は矯正されることが知られている14-16). 後足部中間位においてはアキレス腱の牽引力が効率よく踵骨に伝達されるが, 外返し位においては, 下腿から後足部に伝わる力は, 中間位との作用方向となす角をθとした場合, ×cosθに減少する(図2).
ISSN:1883-406X