地域高齢者における各種食品の摂取可能状況からみた咀嚼力

高齢者の食生活に影響を及ぼす咀嚼能力について検討するために, 地域高齢者に対して食品の摂取可能状況に関するアンケート調査を実施し, 以下の結果が得られた。 1) 年齢と残存歯数との間に危険率0.1%以下で有意な関連がみられた。 2) 一部義歯を含めて義歯を有している者は88.5%であり, 総義歯 (総入れ歯) は全体の43%であった。 3) 残存歯数と咀嚼時の不自由感の関連をみると, 残存歯数0本の者より残存歯数5~10本の者が最も不自由感を感じており, 次いで1~4本の者であった。 4) 硬さの異なる35食品を5群に分け, 各食品群の摂取可能率を算出した。その結果, 1群から5群まで軟らかい...

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Published in栄養学雑誌 Vol. 57; no. 6; pp. 355 - 362
Main Authors 井垣, 厚子, 福岡, 明美, 岡本, 洋子, 和辻, 敏子, 岡田, 真理子, 南, 幸, 浅野, 恭代, 田中, 順子
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 01.12.1999
日本栄養改善学会
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ISSN0021-5147
1883-7921
DOI10.5264/eiyogakuzashi.57.355

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Summary:高齢者の食生活に影響を及ぼす咀嚼能力について検討するために, 地域高齢者に対して食品の摂取可能状況に関するアンケート調査を実施し, 以下の結果が得られた。 1) 年齢と残存歯数との間に危険率0.1%以下で有意な関連がみられた。 2) 一部義歯を含めて義歯を有している者は88.5%であり, 総義歯 (総入れ歯) は全体の43%であった。 3) 残存歯数と咀嚼時の不自由感の関連をみると, 残存歯数0本の者より残存歯数5~10本の者が最も不自由感を感じており, 次いで1~4本の者であった。 4) 硬さの異なる35食品を5群に分け, 各食品群の摂取可能率を算出した。その結果, 1群から5群まで軟らかいものから硬いものへと摂取可能率は低下しており, 咀嚼能力を反映していた。 5) 摂取可能率が60%以下の8食品についてみると, 残存歯数と摂取可能率及び咀嚼不自由感と摂取可能率との間に危険率0.1%以下で有意な関連がみられた。 以上の結果, 摂取可能率60%以下の8食品における摂取可能状況を調べることにより, 地域高齢者の咀嚼能力を簡単に評価できると考えられた。
ISSN:0021-5147
1883-7921
DOI:10.5264/eiyogakuzashi.57.355