片麻痺者の起立動作分析
脳卒中片麻痺者34名を対象にして, 椅子からの立ち上がり動作時における足底部にかかる荷重量を測定し, 運動力学的分析を行なった. 椅子の高さを, 低, 中, 高と3段階に設定して計測した. また, 裸足の状態と装具を装着した状態の比較も行なった. 椅子の高さが高くなると健側, 患側とも荷重量は減少するが, その割合については有意差を認めなかった. 装具を装着すると裸足に比較して荷重量は増加した. 装具を装着することにより下肢の支持性が向上したと考えられた. 患側下肢機能の高い者ほど健側に対する患側の荷重量の割合は大きかった. 患側下肢機能の高い者は, 健側への依存性が小さく, 左右対称に近い動...
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Published in | 理学療法学 Vol. 20; no. 1; pp. 19 - 23 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士協会
1993
日本理学療法士学会 Japanese Society of Physical Therapy |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0289-3770 2189-602X |
DOI | 10.15063/rigaku.kj00003127518 |
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Summary: | 脳卒中片麻痺者34名を対象にして, 椅子からの立ち上がり動作時における足底部にかかる荷重量を測定し, 運動力学的分析を行なった. 椅子の高さを, 低, 中, 高と3段階に設定して計測した. また, 裸足の状態と装具を装着した状態の比較も行なった. 椅子の高さが高くなると健側, 患側とも荷重量は減少するが, その割合については有意差を認めなかった. 装具を装着すると裸足に比較して荷重量は増加した. 装具を装着することにより下肢の支持性が向上したと考えられた. 患側下肢機能の高い者ほど健側に対する患側の荷重量の割合は大きかった. 患側下肢機能の高い者は, 健側への依存性が小さく, 左右対称に近い動作が可能になると思われた. 立ち上がり動作というのは人間にとって日常生活の中で重要な動作であり, 理学療法の中でも頻繁に行なわれる訓練である. その報告例は歩行に比較すると少ないが, 近年運動学的な観点より種々の分析が行なわれている. 先行文献を振り返ると, Yoshidaらは, フォースプレートと電気角度計を使い重心の移動, 動作のスピード, 関節の動きを健常者と片麻痺者で比較している1). Nuzikらは, フィルムを使用し健常者で動作中の身体の各部の時間的, 空間的関係について報告している2). 星らは, 筋電図やフォースプレートを使用し各筋群の機能的役割について報告している3). 米田らは, 健常者で動作時の床反力パターンを分析し椅子の高さの違いによる影響を報告している4). WheelerらやBurdettらは, 使用する椅子のタイプの違いによる影響を報告している5)6). 関節角度, 筋電図そして床反力パターンなどの報告が多いが, 今回我々は脳卒中片麻痺者を対象に立ち上がり時の足底部にかかる荷重という運動力学的な観点より分析を行なった. |
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ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.kj00003127518 |