特定保健指導の評価(2): 国保データによる準実験デザインを用いて

「緒言」特定健康診査・特定保健指導(以下, 特定健診・保健指導とする)は, 内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)に着目し, 糖尿病ならびに関連する循環器疾患の罹患と死亡を減らし, 医療費を適正化することを目的として, 平成20年度に開始された(1). この制度は, 疾病予防について保険者の責任の強化, 効果的な保健指導の標準化と普及, 数値目標とそれに伴うペナルティの導入など, 従来の政策にはなかったいくつかの特長を持っている(2). 導入後, 3年目が過ぎようとしており, その見直しについて検討する時期に入っている. 通常, 健康介入プログラムは, 無作為割付試験(RCT)等によりその...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 66; no. 4; pp. 736 - 740
Main Author 福田吉治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生学会 2011
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ISSN0021-5082

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Summary:「緒言」特定健康診査・特定保健指導(以下, 特定健診・保健指導とする)は, 内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)に着目し, 糖尿病ならびに関連する循環器疾患の罹患と死亡を減らし, 医療費を適正化することを目的として, 平成20年度に開始された(1). この制度は, 疾病予防について保険者の責任の強化, 効果的な保健指導の標準化と普及, 数値目標とそれに伴うペナルティの導入など, 従来の政策にはなかったいくつかの特長を持っている(2). 導入後, 3年目が過ぎようとしており, その見直しについて検討する時期に入っている. 通常, 健康介入プログラムは, 無作為割付試験(RCT)等によりその効果を確認し, 科学的な根拠をもとに導入されるのが望ましい. 特定健診・保健指導では, そうした科学的根拠については明らかではない. すでに全国で導入が始まった現在では, RCTによる効果の評価は困難である.
ISSN:0021-5082