動作介助における介助量と対象者の筋活動量の関係

老人保健施設において介助者がケースの能力を過少評価することは, 過剰介助を招き, ケースの廃用を助長する可能性がある. 本研究の目的は, 自立度評価と介助量および介助量とケースの筋活動の各々の関係を明確にするとともに理学療法士の役割について検討することである. 単一ケースの移乗動作を介護員, 看護婦, 理学療法士を対象に, 自立度評価をビジュアルアナログスケール, 介助量およびケースの筋活動をEMGで捉え検討を行った. その結果, 自立度評価と介助量および介助量とケースの筋活動の各々に有意な負の相関が認められ, 自立度評価に基づきケースの筋活動が規定されていることが確認された(p<0.01)....

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Published in理学療法学 Vol. 26; no. 5; pp. 187 - 191
Main Authors 平林弦大, 杉原敏道, 郷 貴大, 小川恵一, 笠原秀則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 31.07.1999
日本理学療法士学会
Japanese Society of Physical Therapy
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.kj00003131589

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Summary:老人保健施設において介助者がケースの能力を過少評価することは, 過剰介助を招き, ケースの廃用を助長する可能性がある. 本研究の目的は, 自立度評価と介助量および介助量とケースの筋活動の各々の関係を明確にするとともに理学療法士の役割について検討することである. 単一ケースの移乗動作を介護員, 看護婦, 理学療法士を対象に, 自立度評価をビジュアルアナログスケール, 介助量およびケースの筋活動をEMGで捉え検討を行った. その結果, 自立度評価と介助量および介助量とケースの筋活動の各々に有意な負の相関が認められ, 自立度評価に基づきケースの筋活動が規定されていることが確認された(p<0.01). また, 他職種に比し理学療法士はケースの筋活動をより強く発揮させる介助を施していることが確認された(p<0.01). このことは, 老人保健施設における理学療法士が充分機能していない場合, 介助がケースの廃用を助長する危険性があることを示唆するものと考えられる. したがって, 老人保健施設における理学療法士は機能回復訓練のみならず, ケースの能力が十分発揮させられるような介助指導および情報提供を他職種に行う必要があると考えられた.
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.kj00003131589