高令者および大酒家の膵病変
60歳以上の高齢者159例と大酒家25例について, 死後変化の少ない剖検膵を病理組織学的に検索して, その頻度を比較した. 大酒家は8年以上にわたり, 毎日2合 (360ml) 以上の飲酒をした人達である. 高齢者および大酒家群ともに膵標本では導管周囲線維化, 小葉間ないし細葉間線維化, 小葉萎縮が通常認められることが多かった. 粘液細胞増生, 導管上皮の扁平上皮化生は大酒家の標本より高齢者群の標本に高頻度にみられた. これに反して, 導管拡張, 炎症性細胞浸潤, 静脈拡張は高齢者群より大酒家の標本に高頻度に認められた. これらの所見から, 高齢者群に導管上皮の再生性ないし化生性変化の頻度が高...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 14; no. 6; pp. 468 - 474 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
30.11.1977
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.14.468 |
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Summary: | 60歳以上の高齢者159例と大酒家25例について, 死後変化の少ない剖検膵を病理組織学的に検索して, その頻度を比較した. 大酒家は8年以上にわたり, 毎日2合 (360ml) 以上の飲酒をした人達である. 高齢者および大酒家群ともに膵標本では導管周囲線維化, 小葉間ないし細葉間線維化, 小葉萎縮が通常認められることが多かった. 粘液細胞増生, 導管上皮の扁平上皮化生は大酒家の標本より高齢者群の標本に高頻度にみられた. これに反して, 導管拡張, 炎症性細胞浸潤, 静脈拡張は高齢者群より大酒家の標本に高頻度に認められた. これらの所見から, 高齢者群に導管上皮の再生性ないし化生性変化の頻度が高く, 他方大酒家群にしばしば導管の閉塞性機転の作用していることが明らかになった. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.14.468 |