経皮的心肺補助 (PCPS) にて救命しえた甲状腺中毒心の1症例

症例は65歳男性で, 嘔気・嘔吐, 全身倦怠感などを主訴として入院した。頻脈性心房細動を認め, 甲状腺クリーゼの疑いで, β遮断薬, 抗甲状腺薬が投与された。第2病日に呼吸困難, 意識障害が出現し, 心原性ショックへと移行した。心エコーで高度のびまん性壁運動低下が著明で進行性であったため, ただちに経皮的心肺補助 (PCPS) を開始した。第3病日までは壁運動がまったく認められなかったが, 第8病日に30%と改善し, PCPSから離脱した。DIC, 肝不全, 腎不全を合併したが, 血液浄化を行うことなく改善した。本症例は病歴, 臨床症状, 甲状腺機能検査より甲状腺中毒心と診断され, PCPSの...

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Published in蘇生 Vol. 20; no. 1; pp. 44 - 48
Main Authors 野村, 滋, 小泉, 有美馨, 又吉, 康俊, 中村, 久美子, 歌田, 浩二, 田村, 尚, 近藤, 香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 20.04.2001
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ISSN0288-4348
1884-748X
DOI10.11414/jjreanimatology1983.20.44

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Summary:症例は65歳男性で, 嘔気・嘔吐, 全身倦怠感などを主訴として入院した。頻脈性心房細動を認め, 甲状腺クリーゼの疑いで, β遮断薬, 抗甲状腺薬が投与された。第2病日に呼吸困難, 意識障害が出現し, 心原性ショックへと移行した。心エコーで高度のびまん性壁運動低下が著明で進行性であったため, ただちに経皮的心肺補助 (PCPS) を開始した。第3病日までは壁運動がまったく認められなかったが, 第8病日に30%と改善し, PCPSから離脱した。DIC, 肝不全, 腎不全を合併したが, 血液浄化を行うことなく改善した。本症例は病歴, 臨床症状, 甲状腺機能検査より甲状腺中毒心と診断され, PCPSの導入・離脱の判断に心エコーは有用であった。
ISSN:0288-4348
1884-748X
DOI:10.11414/jjreanimatology1983.20.44