高校生集団における顎関節症の自覚症状に関する疫学的検討
近年, 中学・高校生を中心とした若年者層における顎関節症の発症が注目されているが, これら思春期の生徒を母集団とした顎関節症の疫学的報告は少ない。われわれは, 若年者集団における顎関節症の有病率の把握, 発症にかかわる因子の解明を目的として, 高校生1978人にアンケート調査を実施し, 統計学的分析を行って以下の結果を得た。 (1) 3大症状 (咀嚼筋・顎関節痛, 関節雑音, 開口障害) のうち少なくとも1症状以上を自覚するものは, 20.2%であった。 (2) 自覚症状の内訳は, 関節雑音14.9%, 咀嚼筋・顎関節痛7.6%, 開口障害3.8%であった。 (3) 男女間の3大症状自覚率に有...
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Published in | 日本顎関節学会雑誌 Vol. 8; no. 2; pp. 435 - 442 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本顎関節学会
20.09.1996
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Subjects | |
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ISSN | 0915-3004 1884-4308 |
DOI | 10.11246/gakukansetsu1989.8.435 |
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Summary: | 近年, 中学・高校生を中心とした若年者層における顎関節症の発症が注目されているが, これら思春期の生徒を母集団とした顎関節症の疫学的報告は少ない。われわれは, 若年者集団における顎関節症の有病率の把握, 発症にかかわる因子の解明を目的として, 高校生1978人にアンケート調査を実施し, 統計学的分析を行って以下の結果を得た。 (1) 3大症状 (咀嚼筋・顎関節痛, 関節雑音, 開口障害) のうち少なくとも1症状以上を自覚するものは, 20.2%であった。 (2) 自覚症状の内訳は, 関節雑音14.9%, 咀嚼筋・顎関節痛7.6%, 開口障害3.8%であった。 (3) 男女間の3大症状自覚率に有意差を認めなかった。 (4) 偏側咀嚼, 歯ぎしり, くいしばり, 吹奏楽器演奏をする群における3大症状自覚率は, 対照群に比して有意に高値を示し, 顎関節症の発症における外傷性因子の関与が示唆された。 (5) 歯列不正群, 矯正治療経験群の3大症状自覚率は, 対照群との間に有意差を認めなかった。 |
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ISSN: | 0915-3004 1884-4308 |
DOI: | 10.11246/gakukansetsu1989.8.435 |