復位性円板前方転位による雑音に対する円板整位運動療法について

円板整位下顎位を有する復位性円板前方転位による雑音と診断した117名 (男性27名, 女性90名, 平均年齢26.7歳) に円板整位運動療法を施行した結果, 55名 (男性12名, 女性43名) で関節雑音が消失した。有効率は47.0%であり, 有効症例の雑音消失期間は平均39.7±21.4日であった。 性別, 年齢, 各種臨床症状について円板整位運動療法の有効率を比較検討し, 以下の結果を得た。 年齢については, 10歳代から30歳代の有効率は51.5%, 40歳代から60歳代の有効率は26.3%であり, 有意に10歳代から30歳代の有効率が高かった。 クリック期間については, 3年未満のも...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 9; no. 2; pp. 450 - 460
Main Authors 阿部, 正人, 塚原, 宏泰, 小野, 富昭, 坂本, 一郎, 森田, 伸, 依田, 哲也, 榎本, 昭一, 依田, 泰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.09.1997
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu1989.9.450

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Summary:円板整位下顎位を有する復位性円板前方転位による雑音と診断した117名 (男性27名, 女性90名, 平均年齢26.7歳) に円板整位運動療法を施行した結果, 55名 (男性12名, 女性43名) で関節雑音が消失した。有効率は47.0%であり, 有効症例の雑音消失期間は平均39.7±21.4日であった。 性別, 年齢, 各種臨床症状について円板整位運動療法の有効率を比較検討し, 以下の結果を得た。 年齢については, 10歳代から30歳代の有効率は51.5%, 40歳代から60歳代の有効率は26.3%であり, 有意に10歳代から30歳代の有効率が高かった。 クリック期間については, 3年未満のものの有効率は54.2%, 3年以上のものの有効率は29.4%であり, 有意に3年未満のものの有効率が高かった。雑音の発現時期については, 早期クリックの有効率は58.3%, 中期クリックの有効率は47.1%, 晩期クリックの有効率は33.3%であり, 早期クリックの有効率は晩期クリックに比べ有意に高かった。雑音の大きさについては, かすかな可触音の有効率は62.8%, 明らかな可触音の有効率は45.6%, 可触音の有効率は11.8%であり, かすかな可触音および明らかな可触音の有効率は, 可触音に比べ有意に高かった。 以上のことから, 円板整位運動療法は年齢が比較的若いもの, クリック期間が短期のもの, 雑音の発現時期が早期のもの, 雑音の大きさが可触音のものに奏功しやすいことが考えられた。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.9.450