中枢神経障害の下位運動ニューロン障害

中枢神経障害における麻痺筋の萎縮はリハビリテーション(以下, リハ)医療上よく認められる問題である. 従来よりその要因は廃用によるものと単純にかたづけられる傾向にある. しかし, McComas1)は1971年に発表した論文において, 中枢神経障害患者の筋萎縮は廃用が中心の要因ではなく, 中枢神経障害による下位運動ニューロン障害が重要な要因であると報告した. 一方, 脳卒中や脊髄損傷などの中枢神経障害が下位運動ニューロンに与える影響について, これまで深く言及されてきたとは必ずしも言い難い. しかし, リハ医療の対象の多くが中枢神経疾患である現状を考えると, 中枢神経障害に伴う下位運動ニューロ...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 1; pp. 43 - 52
Main Author 原行弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 01.01.2000
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ISSN0034-351X

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Summary:中枢神経障害における麻痺筋の萎縮はリハビリテーション(以下, リハ)医療上よく認められる問題である. 従来よりその要因は廃用によるものと単純にかたづけられる傾向にある. しかし, McComas1)は1971年に発表した論文において, 中枢神経障害患者の筋萎縮は廃用が中心の要因ではなく, 中枢神経障害による下位運動ニューロン障害が重要な要因であると報告した. 一方, 脳卒中や脊髄損傷などの中枢神経障害が下位運動ニューロンに与える影響について, これまで深く言及されてきたとは必ずしも言い難い. しかし, リハ医療の対象の多くが中枢神経疾患である現状を考えると, 中枢神経障害に伴う下位運動ニューロンの病態を明確にすることはリハ医学上重要である. 同時に, 我々リハ医療を推進していく者は, 中枢神経障害の筋萎縮の病態および対策についてもっと考慮すべきではなかろうか?
ISSN:0034-351X