鉄 (II) イオンおよび遊離ヘム蛍光プローブの開発と応用

「1. はじめに」鉄・ヘムは生命体においてユビキタスに存在する化学種である. 様々な重要機能を担うのみならず, その恒常性異常が病態に関わることも知られる. 本総説では, 筆者らがこれまでに開発した細胞内鉄(II)イオンおよび遊離ヘムの生細胞イメージングプローブ群から, ハイスループットスクリーニング(HTS)が可能な高感度鉄(II)イオンプローブとヘム蛍光プローブについてそれぞれ紹介したい. 「2. 鉄の生体内での役割と鉄(II)イオン検出プローブ」鉄は現在確認されているすべての生物が保有しており, 我々ヒトにとっては必須元素として, もっとも多く含まれる遷移金属種である. 人体内の鉄はその...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in生物物理 Vol. 64; no. 1; pp. 12 - 42
Main Author 平山祐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生物物理学会 01.02.2024
Online AccessGet full text
ISSN0582-4052

Cover

More Information
Summary:「1. はじめに」鉄・ヘムは生命体においてユビキタスに存在する化学種である. 様々な重要機能を担うのみならず, その恒常性異常が病態に関わることも知られる. 本総説では, 筆者らがこれまでに開発した細胞内鉄(II)イオンおよび遊離ヘムの生細胞イメージングプローブ群から, ハイスループットスクリーニング(HTS)が可能な高感度鉄(II)イオンプローブとヘム蛍光プローブについてそれぞれ紹介したい. 「2. 鉄の生体内での役割と鉄(II)イオン検出プローブ」鉄は現在確認されているすべての生物が保有しており, 我々ヒトにとっては必須元素として, もっとも多く含まれる遷移金属種である. 人体内の鉄はその大半がタンパク質に結合した状態で存在し, 酸素運搬, エネルギー産生, 酵素反応の活性中心として機能している. これらのタンパク質結合鉄に加えて, 遊離鉄と呼ばれるタンパク質弱結合性および非結合性の鉄イオンも体内・細胞内には存在し, 細胞内の還元的環境や, トランスポーターやシャペロンタンパク質が鉄(II)イオンを認識することから, 鉄(II)イオンが遊離鉄の主成分となっている.
ISSN:0582-4052