摂食・嚥下障害を有する慢性期リハビリテーション患者におけるゼラチンを活用した嚥下障害食の栄養状態に対する効果
「緒言」摂食, 嚥下障害は, 食事, 水分及び唾液等の誤嚥の原因となる. 誤嚥によって発生する誤嚥性肺炎は, 疾病治癒や患者予後に悪影響を及ぼすことが示されている. さらには, 摂食, 嚥下障害は, 脳血管障害, パーキンソン病, 食道切除術, 腫瘍による食道狭窄及び加齢による摂食, 嚥下機能低下などの様々な疾病で発生するため, それぞれの疾病における治療上の問題にもなっている1~3). 摂食, 嚥下障害患者に対する栄養補給は, 障害が重症の場合には経管栄養が施行されているが, 軽症の場合では経口による食事摂取が行われている. 従来は, 摂食, 嚥下障害患者に対してキザミ食やペースト食を提供し...
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Published in | 栄養学雑誌 Vol. 64; no. 4; pp. 237 - 242 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本栄養改善学会
01.08.2006
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ISSN | 0021-5147 |
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Summary: | 「緒言」摂食, 嚥下障害は, 食事, 水分及び唾液等の誤嚥の原因となる. 誤嚥によって発生する誤嚥性肺炎は, 疾病治癒や患者予後に悪影響を及ぼすことが示されている. さらには, 摂食, 嚥下障害は, 脳血管障害, パーキンソン病, 食道切除術, 腫瘍による食道狭窄及び加齢による摂食, 嚥下機能低下などの様々な疾病で発生するため, それぞれの疾病における治療上の問題にもなっている1~3). 摂食, 嚥下障害患者に対する栄養補給は, 障害が重症の場合には経管栄養が施行されているが, 軽症の場合では経口による食事摂取が行われている. 従来は, 摂食, 嚥下障害患者に対してキザミ食やペースト食を提供してきたが, 近年, 摂食, 嚥下に適した食形態や物性を考慮した嚥下障害食が導入されている. 口腔内における食塊形成, 咽頭及び食道における食塊通過等に優れているゼラチンを使用し, ゼリー状またはムース状にした料理がその一例である4). 摂食, 嚥下障害は, 誤嚥性肺炎の要因になるだけではなく, 食事摂取量の減少等によって栄養状態の悪化を招くことから5~7), 嚥下障害食による誤嚥性肺炎の予防に加えて, 栄養状態の改善効果が期待されている. |
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ISSN: | 0021-5147 |