16S rRNAメタゲノム解析を利用したStaphylococcus aureusのバイオフィルム形成に菌種間相互作用を示す菌種の特定
「要約」本研究では, 黄色ブドウ球菌のバイオフィルム形成に影響を与える未知の菌種の特定を試みた. 56種の細菌叢と黄色ブドウ球菌を共培養し, バイオフィルム中の黄色ブドウ球菌の生菌数を測定した. 同時に16S rRNAメタゲノム解析により, バイオフィルム中の菌種構成を明らかとした. その後, 黄色ブドウ球菌の生菌数と菌種構成を比較し, 黄色ブドウ球菌のバイオフィルム中の生菌数に対して影響を有する菌種を推定した. その結果, Serratia属およびEnterobacter属が黄色ブドウ球菌のバイオフィルム中の生菌数に対して抑制的な作用を有すると推定された. 最後にSerratia属細菌を分離...
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Published in | 日本食品微生物学会雑誌 Vol. 40; no. 1; pp. 18 - 25 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本食品微生物学会
31.03.2023
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ISSN | 1340-8267 |
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Summary: | 「要約」本研究では, 黄色ブドウ球菌のバイオフィルム形成に影響を与える未知の菌種の特定を試みた. 56種の細菌叢と黄色ブドウ球菌を共培養し, バイオフィルム中の黄色ブドウ球菌の生菌数を測定した. 同時に16S rRNAメタゲノム解析により, バイオフィルム中の菌種構成を明らかとした. その後, 黄色ブドウ球菌の生菌数と菌種構成を比較し, 黄色ブドウ球菌のバイオフィルム中の生菌数に対して影響を有する菌種を推定した. その結果, Serratia属およびEnterobacter属が黄色ブドウ球菌のバイオフィルム中の生菌数に対して抑制的な作用を有すると推定された. 最後にSerratia属細菌を分離し, 黄色ブドウ球菌との共培養下での検証を行った. その結果, Serratia sp. 19-SA-0058-001株は, 黄色ブドウ球菌のバイオフィルム中の生菌数に対して抑制作用を示した. 本研究では, 16S rRNAメタゲノム解析の利用によって, 多数の菌種によって構成された細菌叢より効率的に黄色ブドウ球菌のバイオフィルム形成に影響する菌種を特定できることが実証された. |
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ISSN: | 1340-8267 |